難航する廃炉作業

 現在行われている廃炉作業(原発を安全に廃棄する作業)は、大きく2つに分けられます。

1. 放射線を出す元を取り出す
2. 放射線物質で汚染された水を広げない

 簡単に説明します。

 1は、もともとあった燃料(放射性物質)とそれが溶けた後のかす(デブリ)を取り除く作業です。これらは、爆発して屋根が吹っ飛んでしまった大きな原子炉建屋の中にまだ残っています。まだどんなふうにかすが建屋の中に存在しているかはっきり分かっておらず、しかも放射線量が多いので、人が近づくと大量被ばくをしてしまうため近づくことができません。冒頭で触れた通り、ロボットと特殊な素粒子で屋内を調査中で、先日、ようやくその様子が少しだけ確認できた段階です。

 2は、なかなか厄介で、まず原発の周りの地下にある地下水が原発の真下に染み込んで汚染されないように、土を凍らせてブロックする作業をしています(関連記事)。下の写真のような「凍結菅」というパイプを使って土を凍らせています。

 そして、汚染した地下水などを吸い出すための管も地中に何本か入れてあります(下の写真)。

 サブドレンと書いてあります。ちなみにドレンは、英語ではdrainと書き、私(外科医)が手術をする時、患者さんの体の中に入れておく管の名前と同じです。どちらも「悪いものを吸い出す」という意味です。

 さらに周りの地下水が汚染される前に吸い出す作業もしており、その水を貯めたタンクが構内に大量に置いてありました(下の写真)。

第1原発視察後の被ばく量は5マイクロシーベルト

 また、構内には津波の跡が下の写真のように残されていました。こちらは17mの高さまできた津波の跡で、実際にまだ黒い線として確認できます。

津波の力でひしゃげたパイプも見えました
構内にはいくつもの放射線量を測る機械「モニタリングポスト」がありました

 視察を終えた段階での私の被ばく量は、5マイクロシーベルトでした。これは0.005ミリシーベルトで、検診で撮影する胸のレントゲンの被ばく量の10分の1でした。東京‐ニューヨーク間をフライトする時には宇宙線に被ばくしますが、それの40分の1ですね。詳しくは厚生労働省のこのページをご覧ください。