重症患者が発生しても街中と変わらない対応ができる

 この医療設備を見て思ったこと。それは、「軽症ならこの中だけでも治療を完結できる」ということと、「もし突然重症患者が発生したとしても、街中と変わらないくらいの時間で遅滞なく医療にアクセスできる」という点でした。

 一つ目の「軽症」とは、例えば作業中に指や手を切ったような小さなけがや、頭痛やだるさといった初期の熱中症、冬場であれば風邪やインフルエンザなどです。人がたくさんいて作業をしている以上、一定の割合でこういった患者さんは必ず発生します。

 そして二つ目の「重症」は、例えば作業と関係なく突然発症した心筋梗塞や脳梗塞、原因不明の心肺停止などが挙げられます。これらは頻度としては軽症よりかなり少なくなりますが、やはり人がいる以上発生しますね。

 「遅滞なく医療にアクセスできる」とは、重症かそうでないかを医師がすぐに判断し、重症だった場合は最適な搬送手段をとって高度な医療が施せる病院へ搬送ができ、短時間で治療が開始できるという意味です。これにより、「とりあえず救急車を呼んだ」というような対応と比べると、生存の可能性が上がるでしょう。

 福島第1原発には2011年から構内に医師が常駐しています。現在は産業医科大学からと、全国にある労災病院から派遣されているようです(厚生労働省の報告)。

夏は熱中症も心配される作業員たち

 原発構内はとても広く、中を道路が走っていたり木がたくさん生えていたりします。私はまるで、広い敷地の大学にいるような印象を受けました(下の写真)。

 視察では構内をぐるぐるとバスに乗って移動しました。コースはあらかじめ決められています。途中、何人か作業員の方が働いているのが見えました(下の写真)。作業員の方は、一部の放射線量が高いところでのみ、このような格好をするそうです。しかし、かなり暑そうでした。これでは夏場には、熱中症の心配がありますね。背中には所属の会社とその人の名前が書いてあります。