損傷した福島第1原発の2号機。放射線量が多いためバスの中から

 先日、東京電力が福島第1原子力発電所で実施している内部調査の中間報告が公表されたというニュースが流れました。ロボットを使った調査に加え、物質を通り抜ける素粒子を使った透視調査によって、3号機の燃料デブリ(溶融燃料と見られる物体)の様子が明らかになってきたようです(関連記事1関連記事2)。

 このニュースを受けて、今回の「日々是絶筆」では、私中山祐次郎が2017年5月に行った福島原発視察の様子をレポートしたいと思います。

なぜ原発を視察することになったのか

 「正直なところ、40年や50年といったスパンで復旧作業を続けています」

 東京電力の担当者の方は、私の「復旧には何年くらいかかると見込んでいますか」という問いにこのように答えました。

 私は、5月のある日、東京電力福島復興本社の協力を得て、福島第1・第2原発を視察しました。

 そもそものきっかけは、私が3月に福島復興本社社長(当時)の石崎芳行さんと知り合ったことでした。この連載にも勤務していた頃のことを以前書きましたが、当時、私は福島県広野町にある、第1原発から22km南の高野病院というところで期間限定の院長を務めていました。石崎さんとは、火事で亡くなられた高野病院の高野英男元院長を偲ぶ会で、ご挨拶いただいたのが初めてでした。

 その後、共通の知人にご紹介いただき、お話をさせていただいたことがありました。正直なところ、その頃の私は原発事故のせいで避難を余儀なくされた多くの患者さんを担当していたので、その方とお話をするのはとても複雑な気持ちでした。罵りたい気持ちが無かったと言えば、嘘になります。少しでも半端な人が来たら、茶の一つでもかけてやろうと思っていました。

 しかし石崎さんの、復興に生涯を捧げる熱意と原発事故への深い悔いの念を感じ取り、罵るのをやめました。そして、原発を見せていただくことにしたのです。視察に当たり、原発事故に関連した訴訟を扱っている弁護士など、数人の知人も一緒に行きました。

 なお石崎さんは現在、復興本社社長を退かれ、福島担当特別顧問(復興本社駐在)として福島と東京を行き来されているそうです(石崎さんには「どうぞなんでも書いてください」と言われています)。