こんにちは、総合南東北病院の中山祐次郎です。前回までの特別編「医者の本音」バージョンは終わり、今回から通常の連載に戻ります。読者の皆様におかれましては、たくさんのコメントをいただき本当にありがとうございました。特別編は終わり、なんだか寂しく感じますが、引き続きよろしくお願いいたします。

 さて少し近況を。38歳、医者12年目にして病院から一時的に離れ、京都大学医学部大学院に参った私は、このところ試験勉強とレポート作成が続いています。医者って、中堅の年齢(30~35歳)に4年間大学院に入る人が多いのです。そして医学博士になるのですが、多くの場合、4年間は研究しません。だいたい研究にかけるのは最初の1~2年だけ。しかも、なぜか皆、病気の治療法などの臨床研究などではなく、細胞や化学物質といった基礎研究をやるのですね。担当患者さんを持たないことを、医者は「ベッドフリー」あるいはドイツ語で「bett frei (ベットフライ)」と言いますが、「ベットフライは1年だけなので、その間に研究を進めたいと思います」などという具合なのです。結局、4年間のうち残りの2~3年は、無給で大学病院や人手の少ない病院で働きます。そのため、丸4年間、きっちり研究したという人はあまりいません。最後に論文を書き、4年間の学費を払って博士号を取り卒業です。

私がMaster of Public Healthを選んだワケ

 この博士号も大学によって全く難易度が違い、国際的な医学雑誌に英文で論文が載らなければだめという大学から、日本語の論文でもOKとか、「論文をsubmit(投稿)してさえいればいいよ」なんて所もあります。Submitは誰でもできますから、緩すぎるような気がしますが……。

 このような医者一般が行く大学院に、私はどうしても納得が行きませんでした。医者が腰掛けでそんな短時間だけ試験管振ってどうするんだ。医者の臨床能力には意味があまりないし、第一、医者ではない研究一筋の人に勝てるわけがない。そう思い、今の大学院に来たのです。臨床研究と公衆衛生を学び、その後の医者人生に役立つものを学んでいます。資格には私はまったく興味がないのですが、Master of Public Health、MPHという資格を得ます。海外ではMPHがなければ部長になれないところが増えてきたようで、日本でも少しずつ重要性が増しているようです。その代わり試験やレポートが多く、週末はほぼずっと勉強しているような状況です。

 では本題です。今回は「熱中症」についてまとめました。