“コバンザメ商法”で正しい情報を

 こういう発信について、私にはある引っかかりがあります。それは、有名人の不幸をネタに飯を食っているという点。有名人のニュースで人々の耳目が集まったところで、故人の名前をタイトルに入れてたくさん読んでもらう。まるでコバンザメです。本記事も同じです。

 ウェブで記事を書くようになってからというもの、いつもこの苦悩は消えません。

 しかし一方で、こういうニュースが無いときに「ラストシーンは悲惨じゃない」話を書いたら、果たしてどれだけの人が切実さをもって読んでくれるだろうか。亡くなった方やご遺族には本当に申し訳ないのだけれど、こういう時が最も啓蒙できる時なのではないか。そう思い、私は有名人の訃報のたびにその原因となった病気についての記事を書いています。それで少しばかりの原稿料を得ているのです。

若い人のがん

 話は変わり、若い人のがんについてお話しします。

「若い人はがんの進行が早い」とはよく聞く言説ですが、果たして本当でしょうか。

 若い人はまさか自分ががんにかかるとは思わないから、病院へ行くのが遅れ、結果として進行した状態で発見されるという可能性があります。これを医者は「病悩(びょうのう)期間が長い」と言います。

 他にも、若い人のがんは遺伝性のがんの割合が多い可能性があり、一番がんの患者さんが多い世代の人のがんの性質とは大きく違う可能性もあるのです。私はそれについて、大腸がんで研究をしているところです。

 どんな年齢であってもその時というのは辛いものですが、若い人ががんで亡くなるのは本当に悔しいこと。なんとか、そんなことが無くなる世になってほしいと切に願い、また専門家としてそんな世界にせねばと胸に刻み、筆を擱きます。