こんにちは、総合南東北病院外科の中山祐次郎です。現在京都大学で期間限定で大学院生をやっております。さて、全8回にわたるこの特別編、今回で最終回となりました。今回は医者が行う患者さんへの説明、「インフォームド・コンセント」について本音を語ります。

 私は外科医です。外科医のメイン業務は「手術」です。これは、他の科の医師にはできない業務ですから、外科医にとって最も重要な仕事です。ですが、仕事のおよそ20%は、患者さんやご家族に「説明」をしている時間です。かなり長い時間をかけて、病状や手術の説明をしています。

 それでも、「全然伝わらなかったなぁ」ということがよくあります。若い頃は「なんでこんな単純なことが伝わらないんだろう」などと、患者さんのせいにしていました。今思うと、とても傲慢ですね。

インフォームド・コンセントとは?

 「医学的な話を噛み砕いてどう伝えるか」について、医療界でも取り組みが進められています。

 それが「インフォームド・コンセント」。皆さんは、この言葉を聞いたことがありますか? 日本語では「説明と同意」という、なんとも味気ない訳があてられています。もともと米国での個人主義の高まりの一環として、患者さんの権利を確保する意味で始まりました。「個人の尊重」と「個人の自己決定権」を基盤とし、1981年に世界医師会がリスボン宣言として公表したものです。

 医者目線で「説明と同意」をもう少し分かりやすく言い換えると、どうでしょう。医者により若干の違いはありますが、私の解釈はこうです。

 「医者は患者さんに、病状についての説明をし、さらに治療行為について説明する。納得し、同意をいただいた時に限り、治療をする」

 皆さんも入院したことがあれば、医者が詳しく病状を説明し、同意書にサインをしたら治療が始まったという経験があるかもしれません。これが病院現場でのインフォームド・コンセントです。

 私は、このインフォームド・コンセントに強い不満を持っています。なぜか。理由をお話ししたいと思います。

(写真:andrei_r/Getty Images)