やっぱり「待つ」しかないのか?

 では、病院は、待ち時間を減らす努力をまったくしていないのでしょうか。

 私が指摘したいのは、待ち時間も含めて、そもそも企業努力をしない病院が多いという点です。

 病院というところは不思議な組織です。営業部がなく宣伝もしないのに、顧客が行列をつくります。医業は許可制の事業で、提供するサービスは「医療」です。そのため、医療以外でのサービス向上にはあまり目が向かないのです。

 つまり、「待ち時間を短縮しても、病院の質の向上には結びつかない」と考えられているのですね。さらに待ち時間の短縮には、病院側のインセンティブがそれほど働かないのです。

 それを逆手に取れば、病院はもっと流行る、と私は思っています。

 どんな病院でも、程度の差こそあれ、競争にさらされています。特に都市部は、病院の数が多いため、選ぶ権利は患者さん側にあります。そこで、患者さんを待たせない仕組みを作れば、一定数の患者さんの増加が見込めるでしょう。

待ち時間に問診票

 「そうはいっても、待たせないシステムなんて不可能だ」という病院経営者の声が聞こえてきそうです。

 おっしゃる通りですが、ちょっと考えてみてください。「待ち時間」は主観的なものです。待っている間に、いろいろとやることがあれば、長いと感じさせずに待ってもらうことは可能です。ディズニーランドのアトラクションも、1時間以上は並びますが、その間には、時間をつぶす絵や仕掛けなどがあります。病院の白い壁やワクチン接種の推奨チラシだけでは、飽きてしまうのは当然ですよね。

 私のアイデアは、待ち時間に「問診票」を書いていただくということです。それもただの問診票ではありません。

 患者さんって、医者との会話だけでは全てを話せないことが多いもの。ですので、こんな内容のものを待ち時間に書いていただくのです。

  • より詳細な症状(いつから、どんな痛みが、良くなっているか悪くなっているか、どういう時に痛いか、それで生活にどう影響があるか、など)
  • 今一番困っていることは何か
  • 医師に何とかして欲しいことは何か

 これらを待ち時間に書いていただくことで、医者との問診もより効率化が図れ、「先生に言うの忘れた!」が防げることでしょう。

 言いづらいこと、どうしても伝えたいことは待ち時間に書いておく。医者はそれを見て、患者さんが真に困っていることを把握し、治療に活かす。こんなシステムができれば、待ち時間の有効利用になるでしょう。待ち時間をじっくり待っている感覚も薄れ、一石二鳥ではないでしょうか。