海外で勝って凱旋

⒈海外へ出て突き抜けた実績を作り、日本に凱旋する

 これは海外で勝ち続けるという険しい道です。類稀な能力が必要とされます。現在、東京慈恵会医科大学の外科教授をされている大木隆生教授が唯一といっていい例でしょう。彼はすでに多くのメディアに出演し、その生き方は漫画にまでなっています。

 大木隆生先生は、医師になって8年目、無給研究員という立場で米国の病院に行かれました。そこで結果を出し、10年後には教授になっていました。当時の年収は1億円だったそうです。その後、日本に凱旋帰国、若くして慈恵医大の教授になりました。そのカリスマ的な生き方は、多くの若い医師の憧れにもなっています。とはいえ、収入は米国の教授のほうがはるかに高いので、凱旋パターンでもなかなか日本で突き抜けた給与を得るのは難しいでしょう。

天野先生パターン

⒉ 日本で結果を出し、突き抜ける

 こちらも⒈の凱旋パターンと同じで、とても大変です。

 日本で結果を出すと、通常は大学病院で出世し、教授になる方法があります。昔は医学部教授となると、グレーな収入も含めてかなりの高収入でした。噂話でしかうかがい知ることができませんが、製薬会社や医療機器メーカー、そして医師を派遣している病院からかなりの額を受け取っていた人がいたと聞きます。確かに、国公立の大学病院の教授では、残念ながら収賄罪で逮捕・書類送検されている人も多数います。最近でもしばしばニュースになっていて、2015年に京都⼤学医学部元准教授が逮捕(のちに有罪判決)、11年には秋田大学医学部教授が書類送検されています。

 また天皇陛下の心臓手術を執刀したことで有名になった順天堂大学の天野篤教授は、「年間所得が5000万円以上」と聞いたことがあります。

 以前、お会いしたときに「日本で医者をやっていて稼ぐのは大変だが、能力のある医者はもっと稼ぐべき」とおっしゃっていました。天野先生は大学教授の収入の他に、講演料や出張手術の収入があるのでしょう。これまた、真似しづらい例です。突き抜けた腕があったからこそ、天皇陛下の執刀医に指名されたのですから。

 これから、医者の収入はどう変化していくのでしょうか。

 私は、ゆるやかに減っていくのではないかと予想しています。増え続ける医療費の一部に医者の人件費がある訳ですから、ずっと今の水準を続けていくことは困難でしょう。しかしながら、弁護士のように暴落することはないでしょう。完全自由市場とは程遠い規制産業の医療では、医者の数も病院の収入も厚労省が厳格にコントロールしているためです。

 私はというと……もちろんたくさんいただけたらありがたいのですが、まあこれくらいの水準が妥当なのかな、とも思っています。できたら年収は減ってもいいので、勤務時間や遠出できないルールが緩むといいな、などと思っています。