新しい病院に勤め始めて2カ月が経ちました。そろそろ看護師さんも私の顔を覚えてくださり、私も皆さんの名前を少しずつですが頭にインプットしてきました。新しい職場に慣れるためには点滴のオーダーの仕方から手術の申し込み方、病院内の検査室の場所を知ることも大切ですが、最も重要なことはスタッフの顔と名前を覚えることですね。私は以前の職場である都立病院に11年間も勤めていたので、そういう感覚を今、少しずつ取り戻しているところです。

 職場を変えたのとともに、郡山市という初めての街に移住しました。初めての街に住むのはいつもワクワクします。私はこれまで横浜、鹿児島と東京にしか住んだことがなかったので、北国は初めて、東北も初めて。新しい街では、人々が話す言葉が違いますから、たまに聞き損じることもあります。

 気候も全然違いまして、朝晩は冷え込んでいます。上司に聞けば「梅雨は寒いから6月でもまだコタツ出してるよ」と。飲み屋さんでは「メヒカリの唐揚げ」というものを福島に来て初めて食べましたが、これが実に旨いのです。

メヒカリの唐揚げ。福島県に来て初めて食べましたが、本当に旨いのです

 そして先日は病院の同僚医師であり研究仲間でもあるみんなと岳(だけ)温泉に行って「温泉会議」をしてきました。郡山市から車で40分ほど北上した安達太良山(あだたらやま)山麓にある温泉地で、歴史あるひなびた風情。草津や熱海などの大きな温泉地とは違い、静かで、ゆっくりと湯につかることができました。

露天風呂は、ただ静かに夕刻を過ごしているようでした

 安達太良山といえば詩人高村光太郎が洋画家の妻について書いた「智恵子抄」でおなじみですね。

 あれが阿多多羅山、
 あの光るのが阿武隈川。

(『校本 智恵子抄』角川文庫、「樹下の二人」より)

 統合失調症を発症した奥さんへの揺るぎない愛。こんなものが現代にはあるのかな、などと想いを馳せながら温泉につかりました。

 地元の食材を使った極上の夕食を終えた後は0時過ぎまで研究会議をし、翌日は6時に出発するという強行スケジュールでしたが。

ご馳走を前に