警報が鳴り響いてから向かうところ

 では、警報音が響いたらどうするか。警報音はミサイル以外の災害などでも発せられますが、ここではミサイルの警報であったとします。ミサイルが到着するまで、どれくらいの時間の余裕があるのでしょうか。去年発射されたミサイルの情報から推測します。

 「平成28年2月7日に北朝鮮西岸の東倉里(トンチャンリ)付近から発射された弾道ミサイルは、約10分後に、発射場所から 約1,600km離れた沖縄県先島諸島上空を通過しています」(内閣官房国民保護ポータルサイトより)

 このトンチャンリから東京までは約1400kmです。ミサイルが東京に来ると仮定するならば、10分以内に来ると考えたほうが良さそうです。そして、ミサイルからJアラートが発報されるまで、かなり早く見積もって2分と仮定しましょう。

 すると、残り時間は単純に考えて8分。あの不快な警報音が鳴り響いてから8分以内にはミサイルが着弾すると言うことです。信じられないほど短い時間しかないわけです。これは困った。この生死を分ける8分の間に我々は何をすべきなのでしょうか。

 これについて、政府が先日発表した同サイトの資料には、こう書かれています。

【屋外にいる場合】
・近くのできるだけ頑丈な建物や地下街などに避難する。
・近くに適当な建物がない場合は、物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守る。
【屋内にいる場合】
・できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動する。

 まず知っておかねばならないこと。それは「ミサイルそのものでダメージを負うのではなく、ミサイルに搭載された爆弾が爆発することでダメージを負う」(防衛の専門家)ということです。であるならば、我々が考えるべきは「爆弾の爆発によるダメージをどう回避するか」ということになります。

 爆弾の爆発なら、救急のドクターが詳しいかもしれないと思われることでしょう。ところが、私自身はそういう患者さんを診たことがありません。

 そこで私は、救急医療を専門の一つとしている外科医に相談しました。すると、「ああ、CBRNE(シーバーン)ね」と言って、下の写真の資料を貸してくれました。

お借りした資料の数々。日本集団災害医学会や火薬学会、救急医学会などが作成したものです

 貸してもらった教科書や専門書、さらにその外科医と議論した内容からまとめます。かなり専門的な内容なので、医師の中でも知らない人が大半でしょう。