小児科医は増えているのに外科医は減少

 最後に(3)外科医数の減少です。

 下のグラフでは、外科医の数は増えるどころか微減しています。医師全体の数が増加し続けていることを考えると相対的です。一般に「減った」と言われている小児科医や産婦人科医と比較しましたが、実際には小児科医が増加傾向、産婦人科は横ばいという結果でした。

小児科医、産婦人科医、外科医の人数の推移
小児科医、産婦人科医、外科医の人数の推移
出所:厚生労働省「平成26年(2014年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」を基に筆者が作成
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 手術件数は増える一方で外科医数は減っているのですから、単純計算でも1人当たりの手術件数は増えることになります。忙しいわけです。

正直なところ外科医は増えない。ではどうするか

 これを解決する方法は、外科医を増やすか、外科医の仕事を効率化するかしかありません。

 前者については先日、外科学会で発表したばかりですが、正直なところ私は、今後、外科医数がぐんぐん増えるとは考えていません。外科医の本来の仕事である手術の件数が増え続けているからです。給料が同じなら誰だって、仕事がきつくなくて訴訟リスクが低い道を選びます。となると、あとは後者の業務の効率化を図るしかありません。

 方策はいくつかありますが、私が最も重要だと考えているのは「複数主治医制」です。

 現在は、1人の患者さんに対して主治医が1人付き、その医師が全ての責任を負う体制をとっています。どんな些細なことであっても、その患者さんに関することは全て主治医に連絡をして主治医が指示を出し、決定の全責任を主治医が負います。

 もちろんほかの医師もカルテを見て、議論しながらの決定にはなりますが、担当する患者さんの決定を全て1人の主治医が担当するのは負担が大きいと私は考えています。複数主治医制が実現すれば、医師が週末に遠出をすることも可能になります。その期間は別の主治医に判断をゆだね、遠方で開かれる学会などに参加できるようになるわけです。

 この他にも厚生労働省は、さまざまな手段を考えています。先日、発表された、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告書では、医師以外のスタッフ(看護師など)が医師の業務を一部担当する「タスク・シフティング/タスク・シェアリング」の考え方などが提唱されました。これは法改正などを必要とするため、すぐには実現しないと考えられますが、私も強く期待しているところです。

 外科医の生活が少しでも改善され、その結果、手術や診療の質が上がることを願いつつ、今回は筆をおきます。

この記事はシリーズ「一介の外科医、日々是絶筆」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。