こんにちは、総合南東北病院(福島県郡山市)外科の中山祐次郎です。

 まずは近況から。私は3月で郡山を離れ、4月から京都大学大学院医学研究科に出向という形で来ております。

雨の中の入学式でした。歴代26人の総長の写真を全て見たら、そのうち14人がひげを生やしていました。人間、偉くなると生やしたくなるもんなんですかねえ

 私が学ぶ内容は主に「公衆衛生学」と「臨床研究法」の2つです。37歳、医者12年目の私がなぜ大学院に来たか。

 一番の理由は、公衆衛生という学問を学びたかったからです。公衆衛生はあまり日経ビジネスオンライン読者の皆様には馴染みがないことと思います。簡単に言えば、臨床の医者が「1対1」で医療を提供するのに対し、「1対多数」の医療を考える学問になります。具体的には統計学や、医療技術をどう経済評価するか、環境衛生(水や大気汚染など)、医療制度や政策など幅広い分野の講義があります。

 それに加えて、私は「臨床研究法」というものを学びます。臨床研究という言葉もあまり聞きなれないですよね。医者がやる研究と言えば、普通は試験管を振ったりいろんな機器を使って実験をしたりするイメージかもしれません。こちらは「基礎研究」です。私がやる研究は、臨床、つまり病院にかかる患者さんの研究です。例えば、「肺炎の患者さんに対してこの薬は何日間使うべきか?」や、「通院が必要な患者さんが外来に来なくなってしまう理由は何か?」といったような、非常に現場で使える結果の出る研究なのです。私はこれが学びたくて、京都に来たのでした。

式は京大の歌を歌い、山極壽一総長のお話を拝聴して終わりというあっさりしたものでした。こんな歌があるのですねえ。もちろん入学生は誰も知らず、歌っていませんでしたが
芝蘭会館の桜。医学部創立100周年で建てられたそうで、稲盛和夫さんに京都大学が寄付をお願いしたそう。私が卒業した鹿児島大学にも稲盛会館という、同じく寄付していただいた会館がありました。稲盛さんは鹿児島大学卒業でした。不思議なご縁ですね

めくるめくハイレベル講義に感嘆

 大学院に来て初めにガイダンスされたのは、「1年生全員でゴミ捨て当番を分担しましょう」でした。衝撃を受けましたが、そういえば私は学生だった、医者じゃないんだった、と身に染み込ませるいい経験でもありました。それから始まった講義の数々。私はこの3月まで外科医として働いておりましたから、病院内を歩き回ったり手術室で汗をかいたりという生活でした。詳しくはこの過去記事をご参照ください。

 それが、4月から大きく変わりました。これまで仕事を始めていた朝7時半は、今ではゆっくりメールや原稿を書く時間に。そして家から徒歩2分の講義棟では、めくるめくハイレベル講義。世界で活躍する教授の講義は、とても面白いものです。この歳になってじっくり学ぶのは、とても刺激的です。

ちらりと医学部ではなく本学の方に行ってみたのですが、サークル勧誘をしていました。うーん、懐かしい。しかし京都大学の学生さんはみな真面目そうです。当然のように、私は全く勧誘されませんでした

 さて、近況はこのくらいにして、今回は話題になったあの事件を扱います。

救命女性に土俵下りる指示 大相撲巡業、市長倒れる」(2018年4月5日付の日本経済新聞電子版より)

 簡単に言えば、土俵上で挨拶中、急に倒れた市長を救うために女性医師がかけつけて救命措置を行っていたところ、「女性は土俵から下りてください」とアナウンスがあったというニュースです。