専門医は「2階建て」構造

 専門医は科によって取得にかかる苦労や難易度もまちまちです。よく言われるのが、「専門医は2階建て(あるいは3階建て)でできている」というもの。

 外科の場合、この1階部分が外科専門医になります。平成25(2013)年時点で2万1275人が外科専門医資格を持っています。日本に2万人以上もいるんですね。55個ある広告可能な専門医の中で、最多の人数を誇ります。ちなみに次点は消化器病専門医(1万8876 名)、その次が整形外科専門医(1万7280名)です。

 この資格を私が取ったのは、医者になって6年目のことでした。私は研修医で入植した病院の同期に外科医が4人おりましたが、私以外は全員5年目で取得していました。

 実はこの資格には2回の試験があり、1回目は医師4年目に筆記試験を受けます。それに合格した者が、2回目の面接試験を受けるのです。私は1回目の筆記試験には合格したのですが、多忙を言い訳に2回目の試験の申請をし忘れたため1年遅れで受験をしたのでした。なんとも間抜け。

 ちなみに1回目の筆記試験は、8割くらいが合格する試験です。最新のデータ(2017年度、第12回外科専門医試験)では968名が受験し、786名が合格。合格率は81.2%でした。

120件の手術執刀をしていなければ試験すら受けられない

 正直なところ、この筆記試験はそれほど難しくありません。過去問を集めた問題集が市販されており、それをやるのとあとは日常の診療で学べば十分だと思います。ただし、これは「消化器外科」という胃腸や肝臓などを専門としている医師に限ったもので、肺を専門とする呼吸器外科医や、乳がんを専門とする乳腺外科医にとってはなかなか難しいようです。それもそのはず、試験問題の多くは消化器外科の問題だからです。私の印象では、「ふだんきちんと勉強しながら学んでいる消化器外科医ならだれでも合格する試験」と言えるでしょう。

 しかしこの試験を受けるためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。その条件とは、

  • 120例以上の手術を執刀していること
  • 350例以上の手術に参加していること

です。まず、120例以上もの手術を「執刀」せねばなりません。執刀とは、手術において「メス」と言って患者さんの皮膚を切ってから、悪いものを切除して最後にお腹を閉じて「ありがとうございました」までの大部分を行わなければならないということ。これを医者になって1~4年目くらいで経験するのは、なかなか大変です。もちろん今の私かそれより年長の医師が指導医として同じ手術に参加し、手取り足取りということになります。