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 今年上半期、中国の経常収支が赤字に転落しました。中国国家外貨管理局が発表した2018年1~6月の経常収支は、283億ドル(約3兆1500億円)の赤字となりました。

 経常収支とは、貿易収支・サービス収支・所得収支(海外から得た利子や配当など)を合計したもの。海外との総合的な取引状況を示します。これが赤字になったということは、海外から稼げなくなりつつあるということと同義です。これは中国経済には大きな問題となります。

 2000年代から急成長を遂げ、世界第2位の経済大国に成長した中国が、なぜ今になって経常赤字に陥ったのか。日本への影響はどのように考えればいいのか。今回は、中国経済の現状と展望について考えます。

中国人訪日客の動向は日本経済にも大きな影響(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

18年1~3月期、17年ぶりの経常赤字に

 まずは、経常収支の中でも最も大きなウェイトを占める「貿易収支」の推移から見てみましょう。

中国の貿易収支・通関
(10億米ドル)
2014年383.1
2015年593.9
2016年509.7
2017年421.5
2018年1月19.9
2月33.5
3月▲ 5.2
4月27.5
5月24.2
6月41.6
7月28.1
8月27.9
9月31.7
出所:中国政府

 貿易収支は大幅な黒字を続けています。2016年は5097億ドル(約57兆円)、2017年も4215億ドル(約47兆円)の黒字です。そのかなりの部分は対米黒字です。米国が不満を持つのも分かります。特にここ数カ月は、米中貿易摩擦による関税率の引き上げを見込んだ駆け込み需要が発生しており、中国側の貿易収支の黒字幅が増加しやすい傾向があります。

 ところが、中国の経常収支は2018年1~3月におよそ17年ぶりの赤字に転落し、4~6月は黒字となったものの、1~6月では赤字となりました。

 一体、何が原因だったのでしょうか。

 経常収支は、貿易収支、サービス収支、第一次所得収支(海外からの金利や配当等)、第二次所得収支(政府開発援助や国際機関への分担金等)の合計です。

 中国の内訳を見ますと、先ほども見たように貿易収支は順調ですが、それと同時に「サービス収支」の赤字が拡大しているのです。サービス収支の赤字は2010年あたりから増加し始め、季節要因によって貿易黒字が縮小した2018年1~3月にはカバーしきれず経常赤字になりました。

 1~3月期は春節の時期が含まれているため、毎年、この四半期の貿易黒字は一時的に減る傾向がありますが、サービス収支赤字が拡大し続けていることには変わりありません。なぜでしょうか。

 主な原因は、中国人による海外旅行の増加による「旅行収支」の悪化です。これは、旅行者の滞在先での宿泊費や交通費などが主なものです。中国からの海外旅行者の増加により、旅行収支の赤字が拡大しているというわけです。

 中国経済が成長してくるにつれ国民の生活は豊かになり、海外への旅行熱が高まり、さらには、高品質な海外製品に対する需要が高まりました。税制上、輸入品よりも海外で購入した方が安いこともあり、海外旅行先で爆買いする中国人も多くいます。これらは経常収支の悪化をもたらすのです。