まず、いいシナリオから考えていきましょう。景気が今より力強さを増すかどうかは、消費が伸びるかどうか。そして、その大前提となる給料が上がるかどうかに懸かっています。

消費支出2人以上世帯
(前年比)
現金給与総額
(全産業、前年比)
2013年度0.9▲ 0.2
2014年度▲ 5.10.5
2015年度▲ 1.20.2
2016年度▲ 1.60.4
2016年4月▲ 0.40.0
5月▲ 1.1▲ 0.1
6月▲ 2.31.4
7月▲ 0.51.2
8月▲ 4.60.0
9月▲ 2.10.0
10月▲ 0.40.1
11月▲ 1.50.5
12月▲ 0.30.5
2017年1月▲ 1.20.3
2月▲ 3.80.4
3月▲ 1.30.0
4月▲ 1.40.5
5月▲ 0.10.6
6月2.30.4
7月▲ 0.2▲ 0.6
8月0.60.7
9月▲ 0.30.9
10月0.00.6
出所:総務省、厚生労働省

 名目GDPの6割近くを支える家計の消費支出を端的に表す「消費支出2人以上世帯」を見ますと、16年はマイナスが続いていましたが、17年はプラスの数字も入り混じるようになりました。しかし、若干回復したものの、まだ好調とは言えません。

 これが毎月、前年比プラスを維持するようになれば、景気はもう一段階ギアアップするでしょう。

 消費の源となる「現金給与総額」にも注目です。今年は昨年よりも伸び幅が若干拡大しており、特に8月は前年比0.7%増。9月は同0.9%増、10月は同0.6%増と、ここ数カ月間は前年を上回っています。ただし、このところ、消費者物価も10月で0.8%上昇という状態で、「実質所得」という観点からは少し心もとない状況です。

 一方、日本経済新聞社がまとめた2017年の冬のボーナス調査によると、全産業の1人あたりの支給額は前年比0.89%増と5年連続で前年を上回ったとのこと。これはいい傾向です。

 雇用が逼迫していて10月の有効求人倍率は1.55倍と、43年9カ月ぶりの高水準に上昇しています。その割に給与が伸びにくいのは、企業が人手不足を補うために非正規雇用者を増やしていることがあります。そのため、一部の非正規雇用者の時給は大幅にアップしています。

円高説、円安説、どちらが有力か?

 続いて、景気悪化のきっかけとなり得る懸念材料を挙げていきます。

 まずは、円相場の動向です。今、円高説と円安説という二つの説がありますが、どちらが有力なのでしょうか。もし円高が進めば、グローバル企業の業績は伸びにくくなり、株価にも悪影響が出ます。

 円高説の理由の一つとされるのは、日銀が量的緩和の縮小(テーパリング)を始める可能性があり、そうなると円高に振れやすくなるということです。

 現在、日銀は年間80兆円規模の資金供給を行っていますが、足元では実質的には50兆~60兆円のペースに抑えています。従って、事実上はすでにテーパリングを始めていると言っても差し支えありませんが、来年は日銀が正式に発表するかどうかがポイントになります。