物価も微妙な動きをしています。消費者物価指数は、8月は前年比0.7%、9月も同0.7%と伸びていますが、まだ評価はできません。

 というのは、今は、輸入物価が上昇することで消費者物価が上がる「コストプッシュ型のインフレ」から、景気回復によって需要が高まり消費者物価が上がる「ディマンドプル型のインフレ」に移るかどうかの瀬戸際にいるからだと私は判断しているからです。

(出所:日銀、総務省、厚生労働省)
(出所:日銀、総務省、厚生労働省)
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 家計の支出を示す「消費支出2人以上世帯」は、2017年はほとんど前年比マイナスの数字が続いており、弱いと言わざるを得ませんが、ここにきて前年比プラスとなる月もあり、この数字も微妙な動きをしています。家計の支出は、日本ではGDPの6割近くを支えていますので、この数字の動きには今後も注意が必要です。

 「現金給与総額」は、若干の上昇が見られます。8月は前年比0.7%増、9月は0.9%増となっています。消費が今後伸びてくる可能性はあるでしょう。ただし、大企業の冬の賞与は前年比マイナスという見方もあります。

 私は、ファミリーレストランの価格を定点観測していますが、最近、少し値段が上がり始めているように感じます。ファミリーレストランは消費者の感覚に敏感で、割と頻繁に価格改定をしているのです。ゼンショー(すき家)も牛丼の大盛りの値段を上げましたが、このことの来店客数や業績に現れる影響を見極めたいものです。

 これはあくまでも一つの現象に過ぎませんが、先にも述べたように、今はコストプッシュ型からディマンドプル型のインフレに移っていくかどうかの微妙な段階です。仮に消費が活性化し、こうした動きが鮮明になれば、景気拡大が続く可能性が高まるでしょう。もちろん、北朝鮮問題などの不確定要因が大きく動かないことが条件ではありますが。

日銀がテーパリングを始める可能性も

 このように日本国内の景気が長く続いている背景には、日銀の「異次元」と呼ばれる金融緩和政策があることも間違いありません。

 この異次元緩和は、どこまで続けられるのでしょうか。

 今のところ、異次元緩和は当面維持されると見られていますが、一部報道では、日銀の国債買入額が従来の年間80兆円から年間50兆~60兆円のペースまで縮小していると言われています。にもかかわらず、80兆円の「看板」を下ろさないのはなぜでしょうか。欧米の中央銀行が「脱金融緩和」を鮮明にし始めている状況にも関わらずです。

 その理由は、日銀はおそらく、年末年始あたりからインフレ率が低下し始めることを懸念しているのではないかと私は考えています。