業績不振の総合スーパーを復活させることはできるのでしょうか。ユニー・ファミリーマートホールディングスは、2019年1月をめどに保有する傘下の総合スーパー(GMS)、ユニーの全株式をディスカウントストア大手のドンキホーテホールディングスに売却すると発表しました。ユニー・ファミマは、不振のスーパー事業を切り離して、コンビニエンスストア事業に経営資源を集中させる方針です。それによりユニー・ファミマの収益力を強化するとともに、同社の親会社である伊藤忠商事は事業ポートフォリオの強化を図るのです。

 ユニーのGMS「アピタ」「ピアゴ」は、全国に約190店舗を展開しています。ただし、GMSは業界全体の傾向として、厳しい状況が続いています。この事業にテコ入れしようと、現在、「アピタ」「ピアゴ」は、すでに6店舗がドンキとユニーの共同経営店となっており、今のところ、まずまずの成果を出しているようです。共同経営店は今後5年間で、その数を100店舗まで拡大させる見通しです。

 「ドンキ流」を取り入れる戦略で、ユニーの業績回復は望めるのでしょうか。ユニー・ファミマ、ドンキ、そしてユニー・ファミマの親会社である伊藤忠商事の思惑を探りながら、先行きを考えます。

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

ドンキとユニーの共同経営店はひとまず成功

 2016年9月、コンビニ大手のファミリーマートと、同じくコンビニのサークルK・サンクス、GMSのアピタ、ピアゴを経営するユニーグループ・ホールディングスが経営統合しました。ユニー・ファミマはコンビニ店のブランドを「ファミリーマート」に統一。それによってファミリーマートはセブンイレブンに次ぐ業界2位に浮上しています。

 一方で、大きな課題も残りました。ユニーの抱えるGMS事業です。同事業は苦戦しており、その再建は急務なのです。そもそもGMSは業界全体の収益が伸び悩んでおり、競合他社も苦戦を強いられています。

 以上の背景を把握した上で、ユニー・ファミマの2018年2月期決算を見ていきます。

 全体の営業収益(売上高)は、前期比51.1%増の1兆2753億円でした。大幅に増えているのは、16年9月にユニーグループHDとファミリーマートが統合したため、この18年2月期が通期にわたって両社の営業収益が合算された初めての年となるからです。この期の営業利益は15.2%減の662億円。売上高営業利益率は2.2%となっています。

 事業別の業績を見てみましょう。ファミリーマートなどの「コンビニエンスストア事業」の営業収益は4844億円、セグメント損益は112億円。GMSや専門店などが含まれる「総合小売事業」の営業収益は3607億円、セグメント損益は98億円となっています。

 今のところ、GMSも営業収益、つまり売り上げは稼いでいますが、利益率は高いとは言えません。そして、むしろ今後はますます厳しい状況に陥るのではないかとの見通しが強まっています。

 そこでユニー・ファミマは、ユニー傘下のGMSにテコ入れするために資本・業務提携したドンキの力を借りようとしました。

 まずは2018年2月から3月にかけて、「アピタ」「ピアゴ」の6店舗を、ドンキ流のノウハウに基づく新業態「MEGAドン・キホーテUNY」としてオープンさせました。結果、その6店舗の2018年3月から半年間の累計売上高が1.9倍に増加。ドンキ流戦略は、今のところ成功と言えるでしょう。

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