22日の衆院選では、自民党が280を超える議席を獲得し、連立を組む公明党とあわせて全議席数の3分の2を上回りました。与党の大勝と言えるでしょう。

 多くの人は、今後議論が進む憲法改正や、疑惑の残る森友・加計問題に注目しています。もちろん、それらの問題もとても重要ですが、私は借金が積み上がる日本の財政問題がますます深刻になっていくのではないかと懸念しています。

 自民党が勝利したわけですから、2019年10月には消費増税が実施される予定です。ただ、もともと消費税率の引き上げ分は、財政を健全化させるとともに、社会保障費の財源となる予定でしたが、安倍晋三首相は、選挙公約で増税分の一部を教育無償化に回す方針を表明しています。

 当然のことながら、これでは当初よりも財政健全化から遠ざかります。2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標は先送りされざるを得ません。

 財政規律が緩むのは、異次元緩和を続ける日銀が国債を買ってくれることも大きな理由です。政府が発行した国債を、一旦は民間金融機関の手を通るものの、ほぼ無制限に買い上げていると言ってもいいでしょう。そのおかげで、国債金利も低下し、政府としては、安い金利で国債を出し放題といった状況です。しかし、いつまでもこんなことを続けるわけにはいきません。

与党の大勝に終わった衆院選。消費税率引き上げは実施の見通しだが、財政規律の緩みが不安だ(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

「脱・金融緩和」の流れに乗り遅れている日本

 財政規律を考える上で最も注目すべき問題は、日銀が行っている量的・質的金融緩和、いわゆる「異次元緩和」です。現在、日銀は年間約80兆円のペースで国債を買い入れています。最近では、少し買い入れペースを落としているようですが、80兆円という看板を下ろしているわけではありません。

 日銀が国債を買い続ける限り、国債価格が暴落するリスクは抑えることができます。大量に買っていますからね。

 しかし、海外の金利上昇など、もし何らかの理由で金利が上昇すると、日銀が保有する国債の価格は大きく下落し、日銀の資産が痛むだけでなく、政府の国債の利払いも増えます。例えば、平成29年度の一般会計予算で国債費は利払いだけで10兆円に迫っています。それがさらに増えるリスクがあるのです。