高額医薬品は医療財政を圧迫する

 新しい治療薬の実用化は素晴らしいことではありますが、高額薬の使用が増えれば医療財政に与える影響も無視できません。18年度の医療費総計が42兆2000億円。このうち調剤費用が7兆7000億円計上されています。

 高額の治療薬が出ますと、調剤費用はどうしても膨らんでしまいます。薬価は研究開発費や製造原価、新規性のあるものには画期性、有用性、市場性など加算され、さらに供給量によって決まります。

 オプジーボの薬価引き下げも、医療財政への逼迫懸念もありましたが、肺がんなどへの保険適用拡大によって供給量が増えたことも一因としてあるでしょう。

 本庶教授のノーベル賞受賞は極めて誇らしいことではありますが、高額薬の開発とともに、医療財政とのバランスをどう保っていくのかという課題が喫緊の課題となっているのです。

 しかも2022年から団塊世代が75歳になり始め、後期高齢者の人口が急増します。この時期から、社会保障費、とくに医療費の膨張スピードが速まることは間違いありません。

 10月5日、安倍改造内閣発足後の初の経済財政諮問会議が開かれ、安倍晋三首相は「今後3年間で社会保障改革を成し遂げる」と発言しました。毎年の社会保障費の増加分を、年間5000億円以下に抑えようとしています。

 中でも、高額薬については費用対効果や財政への影響などを考慮し、保険適用の可否を判断する仕組みが検討されています。

 このままでは医療財政の維持は難しいでしょう。医療財政の改革は喫緊の課題です。その一方で、新薬の開発には巨額の投資が必要です。医薬品メーカーの開発意欲にも配慮してバランスを取るのは簡単なことではなさそうです。