当初、オプジーボの保険適用の範囲はメラノーマに限られていましたが、15年12月に肺がん治療薬として承認され、保険診療の適用対象となりました(2次治療から)。16年3月期の業績が伸びた要因はここにもあります。

 さらに、17年3月期も、売上高は前期比52.7%増の2447億円、営業利益は136.9%増の722億円まで大幅に伸びました。17年秋には、胃がんに対しても適応拡大となります。

 ただし、オプジーボは極めて高額であり、医療財政への影響が極めて大きいと指摘され、17年2月に薬価が50%引き下げられました。当時の価格は、100mgあたり約73万円。50%の引き下げ後は、約36万5000円です。

 18年3月期の売上高は前期比7.0%増の2618億円、営業利益は16.0%減の606億円を計上しています。減益となりましたが、良い水準です。オプジーボは、18年4月の薬価改定でさらに価格が引き下げられ、約28万円となりました。19年3月期の収益にどれだけ影響するかにも注目です。

 売上高営業利益率を見ても、オプジーボの効果が大きかったと言えます。発売前の13年3月期は21.0%。保険適用の範囲が肺がんまで拡大された17年3月期は29.5%まで伸びています。格段に上昇しているのです。

 以上の点から、薬の開発が成功し、その需要が大幅に増えますと、医薬品メーカーの業績が飛躍的に伸びることが分かります。

抜群の財務内容があったからこそ、オプジーボを開発できた

 小野薬品は、先にも見たように、元々は売上高1400億円という中堅規模の製薬会社です。オプジーボ発売前の13年3月期の研究開発費は、443億円。営業キャッシュフローが216億円であることを考えますと、膨大なコストをかけていたと言えます。

 注目すべきは、中長期的な安全性を示す自己資本比率です。発売前の13年3月期は92.3%。14年3月期は92.1%。驚異的な数字です。抜群の財務内容だったからこそ、小野薬品は思い切った開発投資をすることができたのでしょう。

 もう一つのポイントは、投資キャッシュフローです。発売前の13年3月期は43億円、14年3月期は69億円とプラスの数字になっていましたので、投資を抑えていたことが分かります。

 ところが、近年では傾向ががらりと変わりました。17年3月期の投資キャッシュフローはマイナス179億円、18年3月期はマイナス341億円。キャッシュフローのマイナスは投資をしたことを表します。収益が伸びたことから、営業キャッシュフローを稼ぎ、稼いだそのキャッシュを積極的に投資していることが読み取れるのです。これは非常にいい循環だと言えます。

 小野薬品は典型例ですが、製薬会社は新薬の開発に成功し、需要が一気に拡大すれば、収益が大きく伸びる傾向があります。逆に主力薬の特許の期限が切れると、急激に悪化してしまうこともあります。例えば、武田薬品は主力製品である糖尿病治療薬「アクトス」が2011年に米国で特許切れを迎え、大幅な減益となりました。

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