「社会保障給付」を見ると、60~64歳が9万8866円、65~69歳が18万872円、70~74歳は18万2596円、75歳以上は18万734円となっており、やはり60~64歳の額は非常に少ないのです。

 その結果、収支は60~64歳がマイナス15万6282円、65~69歳がマイナス7万5239円、70~74歳はマイナス6万6056円、75歳以上はマイナス3万8874円。60~64歳の赤字額が最も大きいことが分かります。

 つまり、毎月の収支は60~64歳の時期が最も厳しいと言えます。60歳でリタイアし、まとまった退職金をもらっても、この期間に支出が嵩んだら、生きている間にお金がなくなる「長生き」リスクが高くなるわけです。

 では、60歳以降も仕事を続ける場合はどうでしょうか。

表Ⅱ-1-2 世帯主の年齢階級別家計収支(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)-2017年-
表Ⅱ-1-2 世帯主の年齢階級別家計収支(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)-2017年-
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働き続ければ収支は黒字を維持

 「世帯主の年齢階級別家計収支(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)」を見てください。高齢層は「60代」しか分類がありませんが、実収入は月平均で41万799円あります。収支でも、50代までに比べ減少しますが、黒字を維持しています。60代でリタイアしてしまうと60~64歳で実収入が16万6303円しかないことを考えますと、その差はかなり大きなものです。

 以上の点から、多くの場合は60歳以降も働かざるを得ない世の中になりつつあると言えます。

 もちろん、65歳まで会社員として働けるとしても、再雇用という形となり、給料が落ちるケースがほとんどです。近年、60歳以降も給料を落とさない会社も出てきているようですが、まだまだ少数です。

 実収入が、50~59歳の60万39円から60歳以降の41万799円まで大幅に減少しているのはそういった理由があるのでしょう。個別には大きな差があると思われるものの、それでも月41万799円の収入は非常に大きなものです。

 「60歳でリタイア」は非常に魅力ある言葉かもしれませんが、今の時代、あまり現実的な選択肢ではないと思います。私はもう60歳を過ぎていますが、比較的若い方も含めて、リタイアのタイミング、貯蓄額、老後の過ごし方などを考えていかなければなりませんね。

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