収入が増えない上に消費支出はピークとなる50代

 続いて、消費支出が世代別でどれだけ減少しているかを見ていきます。

図Ⅱ-1-1 世帯主の年齢階級別消費支出額及び対前年実質増減率
(二人以上の世帯)-2017年-
図Ⅱ-1-1 世帯主の年齢階級別消費支出額及び対前年実質増減率<br />(二人以上の世帯)-2017年-
[画像のクリックで拡大表示]

「世帯主の年齢階級別消費支出額及び対前年実質増減率(二人以上の世帯)」によると、最も支出が多くなる年代は50~59歳。現役最後の世代に最もお金を多く使うのです。そこから60代にかけてがくんと落ち、以降は徐々に減少していきます。

 もう少し細かく見ていきましょう。支出のピークである50代では何にお金がかかっているのでしょうか。

 答えは、子どもの教育です。「世帯主の年齢階級別家計支出」によると、「教育費」の月平均は50~59歳で2万4428円。最も教育費が多い40~49歳(2万8863円)ほどではありませんが、全消費支出のうち9.2%を占めます。ちなみに、60~69歳では1352円と急減します。

 加えて、注目すべきは「仕送り費」です。40~49歳の6315円から、50~59歳は1万8542円まで大幅に増えるのです。

 多くの世帯では、世帯主が50代を迎える頃に子どもが大学生になり、学費や仕送り費が嵩むといった状況に直面するのです。50代で消費支出が増える主な要因はここにあります。50代では思ったほど貯蓄が増えない世帯も多いのです。

 収入が増えないにもかかわらず、消費支出はピークを迎える50代が現役世代の中では最も生活が厳しい時期と言えます。

60歳でリタイアした場合と、働き続けた場合の差は大きい

 近年、定年を従来の60歳から65歳まで引き上げる企業が増えてきています。政府も高齢者の雇用を促進しようとしています。60歳を過ぎると、退職すべきか、仕事を続けるべきか、悩む方も多いのではないでしょうか。

 しかし、冒頭でも触れましたが、「60歳リタイア」は、経済的にはかなりリスクの高い選択だと私は思います。その理由をご説明しましょう。

表Ⅱ-1-3 世帯主の年齢階級別家計収支(二人以上の世帯のうち高齢無職世帯)-2017年-
表Ⅱ-1-3 世帯主の年齢階級別家計収支(二人以上の世帯のうち高齢無職世帯)-2017年-
(注) 高齢無職世帯とは、世帯主が60歳以上の無職世帯である。
[画像のクリックで拡大表示]

 二人以上世帯のうち高齢無職世帯の家計収支(月平均)を見てください。実収入は、60~64歳が16万6303円、65~69歳が22万1438円、70~74歳は20万6652円、75歳以上は20万1024円と、60~64歳が最も少なくなっています。現在の60~64歳は、一部の人たちは年金をもらうことはできますが、まだ十分には支給されず、65歳から満額受け取ることができるようになります。今後はほとんどの人の年金支給が65歳以上になります。繰り上げ受給も条件を満たせば可能ですが、支給額はかなり減額されます。

次ページ 働き続ければ収支は黒字を維持