8月2日に発表された2017年4-6月期決算では、売上高は前年同期に比べて11.7%増の4517億円。営業利益は80.0%増の254億円。最終利益は、668.4%増の510億円。業績が大幅に伸びた理由は、国際線の旅客や貨物が伸びたことに加え、格安航空会社ピーチ・アビエーションが連結子会社になったことが影響しています。

 ここで、JALとANAの収益率(※通期で見るため、2017年3月期の決算内容で計算)を比較してみましょう。

●航空2社の収益率の比較(2017年3月期)
JAL ANA
売上高営業利益率 13.2 8.2
売上原価率 71.9 75.1
販管費率 14.9 16.7
有利子負債 152,223 729,877
支払利息 843 9,804
(単位:百万円、%)

 売上高営業利益率(営業利益÷売上高)を計算しますと、JALは13.2%。ANAは8.2%。JALの方が効率よく稼いでいることが分かります。

 その前提となる売上原価率(売上原価÷売上高)は、JALは71.9%、ANAは75.1%。ANAの方が、費用がかかっているということです。また、販管費率(販管費÷売上高)は、JALは14.9%、ANAは16.7%となっており、こちらもANAの方が高くなっています。

 つまり、JALの方がANAよりも利益率が格段に高いと言えます。

 ANAの有利子負債を計算しますと、合計で7298億円。支払利息は98億円計上されています。一方、先に説明したようにJALは破綻によって借金を棒引きされたお陰で、支払利息を8億円程度まで抑えています。

 この点でも、JALの方が利益を上げやすい構造になっているのです。破綻したことで身軽になったことは、収益率の向上にも大きく貢献していると言えるでしょう。

 これは、海外の航空会社にも同じ事が言えます。2011年11月に米連邦破産法11条を申請したアメリカン航空、2005年9月に破綻したデルタ航空は、経営破綻を機に身軽になり、構造改革を進めたことで、収益率が大幅に改善されました。

日本の航空業界は、適正な競争が起こっていない

 JALとANAの業績を振り返ってきましたが、私は、ここで2社の企業努力を讃えたいわけではありません。冒頭でも触れましたように、日本の航空運賃が高すぎることにフォーカスしたいのです。

 先にも触れたように、JALとANA、特にJALのROEは驚異的な高さです。「資本や資産を効率的に使って利益を上げている」と言えば聞こえはいいのですが、経営破綻に伴う負担軽減措置という「追い風」も相まって、少々稼ぎすぎではないかとも感じます。しかし、その高収益の根本的原因は「寡占」ではないでしょうか。

 日本の航空会社がかなり高い利益を上げているのは、運賃が高いからでしょう。それは、国内の航空業界はJALとANAで寡占状態となっており、適正な競争が起こっていないからです。

 国内を運航している航空会社は、ほとんどがANAかJALの傘下になっています。特に、私が疑問に感じたのは、2015年1月にスカイマークが民事再生法の適用を申請し破綻し売却された際に、ANAが共同スポンサー企業になったことです。この時、エアアジアなどのLCCがスカイマークを買収していれば、国内の運賃体系も変わっていたのではないかと思います。

 日本の航空運賃が高いから、新幹線の料金も高い。JR東海も「超」がつくくらいの高収益企業です。交通は社会のインフラですから、その料金が高いということは、国民にとって大きな負担となります。

 「独占・寡占」は、国民経済にとってプラスになるからこそ許されるものです。規模のメリットによって、国民に安価にサービスを提供できるという前提があるからこそ、独占や寡占は許されているのです。

 それが単に企業、それも既得権益の利益になってしまうのであれば、問題は大きいでしょう。日本で飛行機を利用する場合、航空会社の選択肢は非常に限られています。その中で競争が起こらないことは、決して良いことではないのです。

 先にも少し触れたように、JALの経営は、2016年度末まで国交省の監視下にありました。それまでは、新たな投資や路線の開設が制限されていましたが、その期限を過ぎた今、自由な戦略をとることができます。

 ここで適正な競争が起こり、国民にとって非常に重要なインフラである航空便の運賃が下がり、さらには新幹線の運賃も安くなることを心より期待しています。