●株式会社日本航空 2009年4-9月期決算 貸借対照表(抜粋)
2009年3月末 2009年9月末
資産の部
現金及び預金 163,696 97,588
資産合計 1,750,679 1,682,719
負債の部
短期借入金 2,911 21,785
1年内償還予定の社債 52,000 17,000
1年内返済予定の長期借入金 128,426 181,410
社債 50,229 50,229
長期借入金 567,963 572,434
負債合計 1,553,907 1,523,450
純資産の部
利益剰余金 △ 21,874 △ 159,397
純資産合計 196,771 159,268
負債純資産合計 1,750,679 1,682,719
(単位:百万円)

 注意すべきは、当時の「有利子負債」です。貸借対照表の負債の部を見てください。短期借入金や長期借入金、社債などを合計すると、約8428億円になります。

 一方、手持ちの「現金及び預金」は、975億円。2009年3月期末より半年で661億円減少しています。さらには、純資産の部にある利益剰余金、これは利益の蓄積を示すものですが、マイナス1593億円となっています。当時の財務内容は、いわば惨憺たるものだったのです。

 その翌年、ついに経営破綻に追い込まれたJALですが、見事にV字回復を果たします。成功要因はいくつかあり、一つは、再建を託され会長に就任した京セラ創業者の稲盛和夫氏の改革が大きく貢献したことです。不採算路線を廃止してスリム化を図り、従業員の「行動改革」や「意識改革」を徹底したのです。

 もう一つは、破綻処理にともなう負担軽減措置です。借金の棒引きと公的資金の注入、さらには法人税も減免されました。

 先にも触れましたが、破綻前の有利子負債は8424億円。年間180億円程度の利息を支払っていました。その巨額の有利子負債は、破綻時に10分の1程度まで棒引きされ、支払利息の額も大幅に減少したのです。ちなみに、2017年3月期に計上されている有利子負債は、合計で1152億円。支払利息は、わずか8億円です。

 身軽になったJALは、財務上の自由度が高まったのを好機に、積極的に設備投資を行います。例えば、燃費効率の悪いジャンボジェットB747をやめて、新しい小型機や中型機を次々と導入しました。

 こうして事業構造をがらりと変えたことで収益率が向上し、ROEや自己資本比率もどんどん高まっていったのです。今後は、破たん後に得た「軽減措置」のために積極的な戦略がある程度規制されていた「足かせ」がなくなり、さらに積極的に事業を展開することが予想されます。

JALはANAよりもはるかに収益率が高い

 続いて、ANAの決算内容を見ていきましょう。2017年3月期は、売上高は前の期より1.4%減の1兆7652億円。営業利益は6.7%増の1455億円。最終利益は26.4%増の988億円。こちらも、かなり良い業績です。

 ROEは11.6%。JALほどではありませんが、高い水準です。自己資本比率も39.7%と安全性の高い数字になっていますね。

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