ちなみに、16年12月末の手元流動性は1.00カ月分であったことを考えますと、現金及び預金が急速に減っていることが読み取れます。

 もう一つ注目したいのは、「投資その他の資産」にある「投資有価証券」です。16年12月末には55億1398万円、17年12月末には27億5303万円まで減少しています。つまり、約28億円分の有価証券を売却したのです。

 業績が悪化して大きな損失が出てしまった分、キャッシュが失われ、その分を有価証券の売却などで埋めている、と考えられます。キャッシュ・フロー計算書によると、「営業活動によるキャッシュ・フロー」がマイナス47億8506万円となっています。ここで減ってしまったキャッシュを、「投資活動によるキャッシュ・フロー」のうち「投資有価証券の売却による収入」28億4851万円で支えようとしているというわけです。

 大塚家具の場合、借金はありません。貸借対照表のうち「負債の部」を見ると、有利子負債の項目がないのです。ただし、これ上損失が増えて現金が減っていけば、今後は借り入れを始める可能性は十分にあります。

競合・ニトリと差が付いたのは「在庫回転率」

 貸借対照表には、大塚家具が本業で苦戦している様子が現れている部分もあります。注目点は「在庫」です。資産の部にある「商品」に128億7124万円計上されています。これを月当たりの「商品売上原価」で割ると、約7.7カ月分の在庫を持っていることが分かります。

 ちなみに、ニトリの場合(18年2月期決算)を計算しますと、「商品及び製品」が496億9000万円、「売上原価」が2572億8100万円ですから、2.3カ月分の在庫しか持っていないと計算できます。

 在庫は、長く持つほど資金負担がかさみますし、当然のことながら利益にも大きく影響します。売上総利益率が、大塚家具は51.0%、ニトリは55.0%と若干ニトリの方が効率よく稼いでいる上、在庫回転率という点でもニトリの方が大幅に速いペースで在庫をさばいていることから、業績にも大きな差がついてしまったと言えます。

 さらに言えば、最新の決算である18年1~3月期を見ますと、大塚家具の「商品」は8.6カ月分の在庫となっており、前期末よりも上昇しているのです。売り上げが落ち込み、在庫が積まれている様子が窺えます。

18年4~6月期までに回復に転じる見通しだったが……

 では、大塚家具の業績が回復に転じることはあるのでしょうか。注目は、業績予想です。

 18年12月期の業績予想は、4~6月期までの時点で、売上高は前期比1.4%増の216億8700万円。営業損益はマイナス8億3000万円。第1四半期終了時点での売上高は前期比マイナス10.7%の91億2100万円、営業利益はマイナス14億1900万円ですから、第2四半期に大幅に改善させないとその目標は達成できません。

 そして通期で売上高456億6300万円、営業利益2億円ということですから、下期は相当努力をして巻き返さなければなりませんが、はたしてシナリオ通りに進むかは不透明です。

 第1四半期に最終利益が黒字になったのは、「投資有価証券売却益」1億7597万円と、「固定資産売却益」11億7666万円が要因です。つまり、損失が出た分、有価証券や土地を売却することで、何とかカバーしているというわけです。

 さらに貸借対照表から現預金の額を調べますと、先にも述べたように17年12月末は18億678万円だったのが、18年3月末には10億2634万円までさらに減少しています。手元流動性も、0.34カ月分まで落ちているのです。

 大塚家具はこの現状について、「現時点で10億2600万円の現預金を保有している上に、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結していることから、必要運転資金を確保している」と説明していますが、厳しい状況であることには変わりありません。