経営方針の違いから父娘が対立し、最終的に娘である大塚久美子氏に経営権が渡ってから3年。大塚家具の業績は低迷を続けています。
かつては「高級路線」が大当たりし、バブルの余波が残る1990年代に急成長しました。しかし、2000年代に入って700億円規模だった売上高はリーマンショックを境に急速に落ち込んでいきました。
「高級路線は、もう古い」と、父・勝久氏の戦略に異を唱えた久美子氏が社長に就任し、「新生・大塚家具」となりましたが、3年が経過した今、業績面では極めて厳しい状況に陥っています。
大塚家具に復活の兆しはあるのでしょうか。前期と最新の決算内容を分析します。

損失を資産売却でカバーする状況が続く
高級路線を廃止し、顧客層の拡大を狙った大塚家具が、苦戦を強いられています。まずは、直近の通期決算である2017年12月期の業績から振り返ります。
売上高は前の期より11.3%減の410億7900万円。さらに前の期である16年12月期は20.2%減の463億700万円ですから、連続で大幅に売上高が落ち込んでいる様子が分かります。
営業損益は、16年12月期は45億9700億円の赤字だったのが、17年12月期は51億3600万円の赤字。最終損益は、45億6700万円の赤字から72億5900万円の赤字まで悪化しています。惨憺たる状況です。
しかし、会社の中長期的な安全性を示す自己資本比率は60.5%。この数字は、これまでの蓄えがあったので、いまだに高い水準を維持しています。
ただ、気がかりなのは、保有する現預金の額が非常に小さくなったという点です。貸借対照表の「資産の部」にある「現金及び預金」を見てください。
2017年12月期(株)大塚家具決算短信 貸借対照表(抜粋) |
||
2016年12月末 | 2017年12月末 | |
資産の部 | ||
流動資産 | ||
現金及び預金 | 3,853,798 | 1,806,785 |
(略) | ||
商品 | 14,302,114 | 12,871,240 |
(略) | ||
流動資産合計 | 22,094,444 | 18,163,947 |
固定資産 | ||
有形固定資産 | ||
(略) | ||
土地 | 2,414,213 | 2,357,959 |
有形固定資産合計 | 3,685,490 | 2,814,849 |
(略) | ||
資産合計 | 37,685,764 | 29,169,722 |
負債合計 | 11,661,528 | 11,521,605 |
純資産合計 | 26,024,235 | 17,648,116 |
16年12月末に38億5379万円ありましたが、17年12月末には18億678万円と半分以下にまで減っているのです。
現預金の額が十分かどうかを判断するために、「手元流動性(現金及び預金÷月商)」を計算しますと、17年12月末は0.53カ月分となります。目安として、月商の約1カ月分の現預金を持つのが一般的に安全と私は考えていますから、この現預金の額はかなり少ないと言えます。
Powered by リゾーム?