欠陥エアバッグ問題で経営が悪化していた自動車部品大手のタカタが、6月26日に民事再生法の適用を申請し、経営破綻しました。

 米国でタカタ製のエアバッグが異常破裂する事故が起こってから同社は迅速な対応をすることなく、事態は悪化し続けました。最近ではオーストラリアでの死亡事故も明らかになり、タカタ製エアバッグを採用した車での死者は世界で18人と伝えられています。

 エアバッグで世界シェア2割を誇る優良企業を破綻に追い込んだのは、ダウンサイドリスク(最大限被る損失)の認識の甘さや初期対応のまずさとともに、その根底には「経営者の意識」の問題が大きかったと私は考えています。リーダーはどのような覚悟を持つべきなのか。決算の数字も含めて、一連の出来事を振り返りながらお話しします。

(写真=つのだよしお/アフロ)

問題が拡大した米国はタカタの主戦場だった

 破綻直前のタカタの業績は、どのような状況だったのでしょうか。

(単位:百万円)

 2017年3月期決算内容によると、売上高は前の期より7.7%減の6625億円、営業利益は7.5%減の389億円。減収減益ではありますが、営業利益段階では売上高営業利益率6%弱のまずまずの黒字を確保しています。

 ところが、特別損失で欠陥エアバッグ問題関連の損失を差し引いた結果、最終利益は795億円の大幅赤字に陥りました。その結果、会社の中長期的な安全性を示す自己資本比率は27.5%から7.0%まで大きく低下しています。もちろん、この数字は危険ラインですが、今後の損失や資金繰りを考えると、これからさらに財務内容が悪化することから、民事再生法申請という選択肢をとったのです。また、タカタを買収する企業側から考えれば、ブランドがさらに棄損する前に破綻処理し、いったん債務をなしにして、新生タカタを早めに引き継ぎたかったという思惑もあったのでしょう。

 欠陥問題による損失がどこまで膨らむのか、正確なところはまだ分かっていません。問題のエアバッグを装着した自動車を回収して部品を交換するリコール費用は、整備費用や交換部品費用、輸送費などの費用を全て含めると1台あたり約1万円と言われています。今のところ、リコール台数は1億台超まで拡大する見通しですから、総額で1兆円を超えると考えられます。

 現時点では、リコール費用は最終製品を販売した自動車メーカーが負担しています。本来であれば自動車メーカーはタカタに費用を請求することになりますが、経営破綻により回収は難しくなりました。

(単位:百万円)