中小企業が大企業と差がついてしまう理由
なぜ、中小企業は大企業よりも儲からないのでしょうか。
一つは、企業を構成する「人材」です。中小企業にも優秀な人はたくさんいますが、大企業と比較すると、なかなか優秀な人材を確保しにくい傾向があります。
私の持論ですが、ビジネスパーソンに必要な能力は「思考力」と「実行力」です。大企業には学歴の高い人が集まりやすい傾向がありますから、それらの点において有利になってしまうのです。もちろん、学歴だけで思考力は判断できませんが、やはり若いうちに難しいことを学んだ人のほうが思考力は確率的に高いと言えます。また、「実行力」に関しても、「体育会系」の有能な人材は、やはり大企業のほうが採用しやすいでしょう。
二つ目は、「資本規模」や「資金力」です。例えば、資金が潤沢にある大企業ですと、経営環境の変化などの理由で事業を新たに展開する時に、大規模な設備投資をすることができます。例えば、富士フイルムはもはやフイルム事業だけではなく、そのコア技術を利用した半導体関連や化粧品の製造で収益を上げています。資金も人材もあれば、世の中の流れに沿って大胆な事業構造の転換を図ることができるのです。
それに対し、中小企業の場合は、資金も余裕がありませんし、企画を立てる思考力や実行力のある人材もなかなかいない場合が多い。すると、下請けとして大企業に頼らざるを得るしかない状態が続いてしまうのです。
ただ、今後は、資金力がなくともITなどの利益率の高い事業を展開して、大きく伸びる会社が出てくる可能性はあります(ただし、そのためにも「思考力」や「実行力」は必要です)。
三つ目は、「儲かる仕組み」を持っているかどうかです。もちろん優越的な地位を乱用することは禁じられていますが、大企業はある程度、中小企業を土台にしながら儲かる仕組みをもっているところも少なくないことは否めません。
では、中小企業が実力を伸ばし、大企業に勝つためにはどうすればいいか。先にも述べた「思考力」と「実行力」を伸ばすこと以外ありません。
よく言われているのが、「社員の意識改革が大事である」ということですが、人の意識など、簡単に変えることはできません。私の持論は、意識より行動改革です。
良い仕事とは、私の定義では、まず「お客様が喜ぶこと」、二番目に「働く周りの仲間が喜ぶこと」、三番目に「工夫」があります。経営者は、社員にそれらの「小さな行動」に集中させて「働きがい」を感じられるような会社づくりを目指すことです。それにより、社員の「思考力」と「実行力」を伸ばしていくことが肝要ではないでしょうか。とにかく「小さな行動」から始め、社員や自社の実力を高めることです。
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