仕入れ価格が上昇しているにもかかわらず、販売価格は上がらない
続いて、「需給判断」を見てみましょう。
これは、「需要超過-供給超過」から算出された数字で、マイナスは供給超過、プラスは需要超過を示しています。
6月調査の大企業・製造業はマイナス2、非製造業もマイナス5と、いずれもわずかですが供給過剰であることが分かります。一方で中小企業はというと、製造業はマイナス10、非製造業はマイナス14と、大企業よりマイナス幅が広がっているのです。つまり、供給超過が大企業よりも顕著で、それだけ競争が激しいということです。
もう一つ、ここで注意すべき点があります。
「販売価格判断」を見てください。これは、「上昇-下落」の数字ですが、原材料に近い「素材業種」は、大企業・製造業は16、中小企業・製造業は15。販売価格は、いずれも上昇しているのです。
一方で、素材を使って製品を作る「加工業種」は、大企業・製造業はマイナス1、中小企業・製造業もマイナス1と、いずれも販売価格が下がっているのです。
素材業種の販売価格が上がっていて、加工業種の販売価格が下がっているわけですから、加工業種の価格転嫁が難しくなっていることが読み取れます。これは大企業も中小企業も同じです。
さらに、「仕入れ価格判断」を見ますと、「素材業種」は、大企業・製造業はプラス37、中小企業・製造業は49と、いずれも大幅に上昇しています。中小企業のほうがそう感じている比率が高いですね。
一方で「加工業種」を見ますと、大企業・製造業は25、中小企業・製造業は38です。仕入れに関しては「加工業種」も仕入れ価格は上がっており、それも中小企業のほうが上がっているのです。
今後も、製造プロセスの上流に近いところでは原材料の高止まりが続くかもしれませんが、最終製品はそれほど価格が上がらない状況が続きそうです。特に、大企業よりも中小企業の方がその傾向がより強いわけですから、中小企業はより利益を上げにくいということなのです。
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