JR東海のリニアへの巨額投資、収益性と公益性が一致

 一方で、JR東海は総工費5.5兆円を投じて、2027年にリニア中央新幹線の品川―名古屋間の開通を目指しています(ちなみに、品川―大阪間は9兆円の予定)。

 JR東海は、全国の鉄道会社の中でも超高収益企業です。2018年3月期の業績を見ますと、売上高は前期比3.7%増の1兆8220億円、営業利益は6.9%増の6620億円。売上高営業利益率は、なんと36.3%という驚異的な水準です。

 事業構造を見ると、「運輸業」1兆4121億円が全体の77.5%を占め、そのうち約9割弱は「新幹線収入」です。つまり、JR東海にとって東海道新幹線は大黒柱だと言えます。もちろん、JR九州のように不動産事業や流通業も展開していますが、あくまでも主力は鉄道、特に新幹線なのです。

 そういった中、政府(独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構)から3兆円を借りてリニア中央新幹線を建設しています。巨額の借り入れではありますが、JR東海はもともと超高収益であることと、新幹線一本足打法であることから、リニアへの集中投資は悪いことではないと私は考えています。それどころか、東京から大阪までの区間に新幹線とリニアの二つの大動脈が走ることになれば、日本経済の活性化にも大いに貢献するはずです。正しい投資ではないでしょうか。

 収益性と公益性、JR東海の戦略は、それら二つの方向性が一致しています。JR九州のように公益性より収益性を重視しつつあるのとは正反対だと思います。

 とは言っても、JR北海道やJR四国のように、全く採算の取れない会社であり続けることも問題です。

 収益を高めようとすることは必要でしょう。上場している以上、株主に還元することも必要です。しかし、それと同時にその高まった収益を地域の人たちのために還元する、つまり、鉄道網を維持することも考えなければならないと思います。

 私は、JR九州は上場せずに収益性を高め、地域社会に貢献することを選ぶべきだったのではないかと思います。よしんば上場するとしても、その上がった収益性を地域社会に還元すべきです。経営安定基金という国民の資産をもらって上場したのならなおさらではないでしょうか。

 JR九州のみならず、JR北海道、JR四国には、収益性を高めながらも、より地域に還元してほしいと願います。公共事業とは何かもよく考えなければなりません。