2016年10月に東京証券取引所1部上場を果たしたJR九州の2018年3月期決算が、売上高、営業利益ともに過去最高を更新しました。

 もともと同社は、JR北海道、JR四国とともに「JR3島会社」と呼ばれる低収益企業でしたが、上場を目指し様々な戦略を打ち出してきました。「特急 海幸山幸」「特急 指宿のたまて箱」などの観光列車や、「ななつ星in九州」といった豪華寝台列車、あるいは不動産事業、飲食店などの多角経営で収益を上げ、見事に上場を果たしたのです。

 ところがその一方で、主力の鉄道事業で、2018年春から九州新幹線と在来線をあわせた117本を減便。特急列車も一部の区間が削減されました。もちろん収益性を高めることも大切ですが、地域の公益性を重視しインフラサービスを維持するのは鉄道会社の役割です。

 収益性と公益性、そのバランスについて、JR九州の事例をみながら考えてみましょう。合わせてJR東海のことにも触れます。

2016年10月にJR九州は東証に上場を果たした(写真:AFP/アフロ)

業績は好調だが、問題が潜んでいる

 2018年3月期のJR九州の業績から見ていきましょう。売上高は前期比8.0%増の4133億円、最終利益は12.6%増の504億円と、過去最高となりました。

 営業利益は639億円で、売上高営業利益率は15.5%。中長期的な安全性を示す自己資本比率は50.3%。上場後、収益性と安全性ともに非常に好調と言えます。

ただし、収益構造には問題があります。事業ごとの収益を示す「セグメント情報」を見てください。

 主力の「運輸サービス」のセグメント利益は292億円であり、全体の45.7%です。鉄道会社ですが、運輸事業の比率が半分にも満たない水準です。そして、この収益にも裏事情があるのです。これは後に説明します。

 では、ほかにどの事業で収益を上げているのかと言えば、「駅ビル・不動産事業」です。セグメント利益は232億円、全体の36.3%を占めています。その他、鉄道高架工事や新幹線関連工事などの「建設事業」、ドラッグストアや飲食店などの「流通・外食事業」なども展開しています。

 事業の手を広げ収益性を高めることは悪いことではありません。しかし、好業績に背景には二つの要因があることを忘れてはなりません。