半導体メモリー売却で「低収益企業」になるリスク

 ところが東芝は、この稼ぎ頭の半導体メモリー事業(分社した東芝メモリ)を売却して、その売却益で債務超過を解消しようとしています。同社としては、2兆円程度で売って再建につなげたいと考えているようです。

 6月21日には、産業革新機構やベインキャピタルなどの日米韓3か国連合に交渉の優先権を与えることを発表しました。しかし、四日市工場を共同運営するなど協業関係にある米ウエスタンデジタルが同事業の売却に反対し提訴しており、売却が予定通り進むかは予断を許さない状況です。

※1 ランディス・ギア社を除く
※2 メモリ事業を除く
(編集部注:ランディス・ギア社は東芝が売却を検討しているスイスの電力計大手)

 同社が発表している2018年3月期の見通しを見ますと、「ストレージ&デバイスソリューション」部門の売上高は、半導体メモリー事業の売却がなければ1兆6500億円ですが、計画している売却を前提とすると9400億円減の7100億円。営業利益は1400億円減の330億円となっています。事業売却により大幅な売上高と利益の減少が想定されるのです。

 半導体メモリー事業の売却が実現すれば、東芝は債務超過から脱し、上場廃止を回避できる道が見えてきます。しかし、それで解決というわけにはいきません。収益力の高い半導体メモリー事業を手放すと収益性が大幅に低下しまう可能性があるのです。先の2018年3月期の見通しでは、半導体メモリー事業を売却すると、売上高3兆6500億円に対して、営業利益がわずか500億円と、売上高営業利益率は1.4%まで低下するという状況です。

 東芝は、発電システムや社会インフラ、情報通信技術など、安定収入が見込める事業を持っています。今後は社会インフラを軸に再建を進める方針を決めたということですが、どこまで収益力を向上していけるか。早期に半導体事業を売却できたとしても、先行きはそれほど明るくはありません。