物価上昇の可能性がある今こそ、出口を探るチャンスだ

 ここで、一つの大きなポイントがあります。

消費者物価指数生鮮除く総合(前年比) 輸入物価指数(前年比)
2015年度 0.0 ▲ 13.7
2016年度 ▲ 0.3 ▲ 10.5
2017年度
2017年4月 0.3 10.9
5月 0.4 12.4
6月 0.4 11.5
7月 0.5 11.9
8月 0.7 12.8
9月 0.7 13.8
10月 0.8 15.6
11月 0.9 10.4
12月 0.9 7.3
2018年1月 0.9 5.0
2月 1.0 4.4
3月 0.9 1.7
4月 0.7 5.0
5月 6.5
出所:総務省、日銀

 それは物価の上昇懸念です。「消費者物価指数」を見ますと、4月は前年比0.7%まで落ちましたが、この要因は輸入物価の下落です。しかし、この先は上昇してくるのではないかと私は見ています。

 先ほども原油高について触れましたが、日本でもガソリン価格の値上げが続いています。資源エネルギー庁が6月13日に発表したレギュラーガソリンの店頭価格(全国平均)は1リットル=152円となっており、4月から1リットルあたり10円強も値上がりしているのです。

 消費者の買い控えから、これ以上の値上がりが困難であることや、6月22日の石油輸出国機構(OPEC)総会で減産緩和が議論される見通しであることから、このところは少し落ち着いていますが、価格の上昇懸念は払拭されたわけではありません。

 さらには、米国の金利が上がり始めれば、円安ドル高に振れる可能性があります。一部の専門家は「米国が利上げをしても円安にはならない」と主張していますが、私は円安ドル高になりやすいと考えています。

 原油価格が上昇する上に円安が進めば、輸入物価は上昇しやすくなります、すると、当然のことながら消費者物価も上がります。

 とはいえ、日銀がターゲットとする「物価目標2%」に到達することはないでしょうが、日本でも「そろそろ脱金融緩和に動き、金利を上げ始め、正常な状態に戻すべきではないか」という声が出てきて然るべきだと思うのです。金融緩和の出口を求める声です。

 日銀は4月27日の金融政策決定会合で、物価2%の達成時期を削除しました。これは非常に賢明な判断だと思います。この際、「物価目標2%」という数字にもあまり固執せず、脱金融緩和の見通しを発表し、金利を少しずつでも上げていく方向に転換しなければ、日銀のみならず民間金融機関にとってもリスクが増大するばかりでしょう。

 日銀は、この先の消費者物価上昇の好機に、脱金融緩和の道筋を示し、その後、金利を上げ、出口を探るチャンスを掴むべきではないでしょうか。このまま異次元緩和を続けていても、景気浮揚効果はそれほど見込めない上に、日銀の抱えるリスクはますます増大し、金融市場のひずみも大きくなるばかりです。金融市場を正常な状態に戻す方向に議論が進むことを切に願います。