日本の金融政策は行き詰まっている

 その一方で、日本の金融政策は膠着状態に陥っています。冒頭でも触れましたが、日本では2016年1月から「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が実施されており、日銀当座預金の一部に対してマイナス0.1%の金利をつけています。

 マイナス0.1%ということは、預金口座にお金を置いておくだけで損をするということです。一般的に考えれば、民間金融機関は損をしたくありませんから、その分はできる限り日銀当座預金には置かず、貸し出しなどに回そうとします。そうすることで、市中に出回るお金が増えていき、経済も活性化される。これが日銀の狙いです。

銀行計貸出残高(前年比) 新発10年国債利回り
(期末、年利、%)
2015年度 2.5 ▲ 0.050
2016年度 2.4 0.065
2017年度
2017年4月 3.0 0.015
5月 3.2 0.040
6月 3.3 0.075
7月 3.4 0.075
8月 3.2 0.010
9月 3.0 0.060
10月 2.8 0.065
11月 2.7 0.035
12月 2.4 0.045
2018年1月 2.3 0.080
2月 2.1 0.045
3月 1.9 0.045
4月 2.0 0.050
5月 1.9 0.030
出所:日銀、日本相互証券

 ところが、肝心の銀行の貸し出しはそれほど伸びていません。「銀行計貸出残高」を見ますと、一時は前年比で3%台だったのが、2018年に入ってからは2%前後で推移しているのです。

 なおかつ、長期金利の指標となる「新発10年国債利回り」を見ますと、0.03~0.04%のレンジを中心とする状態が続いています。これは日銀が10年債の利回りをゼロ近辺に誘導しているからです。

 これらの要因によって、一部の銀行は収益を大幅に落としています。その上、無理をしてでも融資を増やさなければなりません。少し前に話題になったスルガ銀行のシェアハウス関連融資問題や商工組合中央金庫の大規模な不正融資問題などは、もちろん擁護できることではありませんが、要因の一つとしてこういった背景があるのではないかと思います(余談ですが、銀行もマイナス金利よりはましなので、ある銀行は、新規融資に0.07%という金利を中堅企業にも提示したという話を聞いたことがあります)。

 一方で、金融政策の出口は全く見えていません。日銀は今、資金供給量を年80兆円から50兆円ペースまで落としていますが、「出口を目指す」という発言はしていません。その上、金利が上昇することも見込めないという状況に陥っているのです。