米連邦準備制度理事会(FRB)は、6月12、13日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利翌日物の誘導目標を0.25%引き上げ、1.75~2.00%に設定しました。今年に入り2度目の利上げとなります。米国景気がこのまま好調に推移すれば、年後半も当初は1度としていた利上げも、2度あるのではないかとの見方が強まっており、私自身もその可能性は高いと考えています。

 一方で、日本の金融政策は、ある意味、膠着状態に陥っていると言えるでしょう。2016年1月から導入された「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」は現在も継続されたままで、日銀は出口を全く示していません。

 その中で、今は少し落ち着いている物価も、この先じわりと上昇する可能性が高まりつつあることを考えると、日本は「物価目標2%」にこだわらず、少しずつ、脱金融緩和、利上げの方向に進み始めてもよいのではないかと私は考えています。今回は、日米の景況感、金利、為替相場の行方から、日銀が取るべき金融政策について考えます。

米FRBは今年2度目の利上げを決定した(写真:AP/アフロ)

米雇用は好調、物価も上昇基調にある中での利上げ判断

 今回の米国の利上げは、多くの人にとって予想通りの結果でしょう。金利に影響を及ぼすとされる「雇用」と「物価」の状況から見ていきましょう。

 まずは「雇用」ですが、直近となる5月の指標を見ますと、「非農業部門の雇用者数」は前月比22万3000人の増加、「失業率」は前月比0.1ポイント改善し同3.8%。雇用状況はすこぶる好調と言えます。

 続いて「物価」です。「消費者物価指数」は、4月は前年同月比2.5%上昇。5月は同2.8%上昇となり、2012年2月以来の大きな伸びとなりました。上昇の主な要因は、ガソリン価格の値上がりです。一部の報道では、米国のガソリン価格は今年に入ってから15.5%上昇していると言われています。

 ドバイ原油価格は値上がり傾向が続いており、5月は1バレル=75.20ドルまで上昇。5月初旬に米国がイラン核合意から離脱し、イランに対して経済制裁を再開する意向を示したことが大きな要因の一つとなっています。

 6月18日時点では、サウジアラビアとロシアが減産を緩めるのではないかとの観測から70.80ドルまで下落していますが、今後の動向によっては再び上昇に転じ、物価の押し上げ要因になる可能性もあります。

 FRBが重視している個人消費支出(PCE)物価指数は、3月、4月と連続で目標の2%を達成しました。

 好調な雇用、堅調な物価を受けてFRBは利上げを決め、政策金利の誘導目標が0.25%引き上げられて1.75~2.00%となりました。

米国
TB3カ月(%) 10年国債利回り(%)
2015年 0.20 2.27
2016年 0.50 2.44
2017年
2017年1月 0.52 2.45
2月 0.61 2.39
3月 0.75 2.38
4月 0.79 2.28
5月 0.96 2.20
6月 1.00 2.30
7月 1.06 2.33
8月 1.01 2.13
9月 1.04 2.33
10月 1.08 2.40
11月 1.23 2.41
12月 1.35 2.40
2018年1月 1.44 2.70
2月 1.65 2.89
3月 1.68 2.74
4月 1.79 2.95
5月 1.87 2.87
出所:米国政府

 「TB3カ月」を見ますと、5月は1.87%まで上昇していますから、市場はすでに利上げを織り込んでいたことが分かります。

 長期金利の指標となる「10年国債利回り」は、一時は3%を超えましたが、5月末時点では2.87%。こちらはそれほど上昇していませんが、短期金利が上がれば、長期金利もベースが上昇すると考えられます。