モノ消費からコト消費へ 化粧品の売上高は引き続き好調

 外国人観光客が急増しつつある今、彼らは何を消費しているのでしょうか。観光庁による2018年1~3月期の「費用別に見る訪日外国人旅行消費額」を見てみましょう。

訪日外国人旅行消費額の費目別構成比
2017年1-3月 2018年1-3月
  実額(億円) 構成比(%) 実額(億円) 構成比(%)
宿泊費 2,544 26.3 3,164 27.9
飲食費 1,913 19.8 2,324 20.5
交通費 1,065 11.0 1,201 10.6
娯楽等サービス費 375 3.9 690 6.1
買物代 3,748 38.7 3,961 34.9
その他 36 0.4 4 0.0
総額 9,681 100.0 11,343 100.0
出所:観光庁

 最も大きなウエイトを占めているのが、「買物代」の34.9%。増加が目立つのは、「娯楽等サービス費」です。前年同期の375億円からこの期は690億円まで増加しています。インバウンド消費の傾向が、モノ消費はいまだに大きいものの、構成比の変化を見るとコト消費へと移りつつあることがうかがえます。

 続いて、インバウンド消費の動向が現れやすい指標の一つである、全国百貨店売上高を見てみましょう。

全国百貨店地区別売上高
売上高(千円) 対前年増減率(%)
全国 456,542,946 0.7
10都市 324,320,371 2.5
札幌 12,023,569 4.0
仙台 5,957,695 -2.1
東京 127,196,683 1.9
横浜 27,248,559 -0.8
名古屋 29,589,307 5.7
京都 19,355,444 4.1
大阪 66,835,977 9.9
神戸 11,248,635 -30.6
広島 9,003,753 -2.4
福岡 15,860,749 6.3
10都市以外の地区 132,222,575 -3.6
出所:日本百貨店協会

 2018年4月の地区別の総額(店舗数調整後)を見ますと、最も伸びているのは大阪の前年同月比9.9%増。2番目に伸びているのは、名古屋の同5.7%増です。10都市総額では同2.5%増ですが、10都市以外の地区では3.6%減と、大都市圏以外はマイナスになっています。

 続いて商品別の売上高に注目しますと、最も伸びているのが化粧品の前年同月比17.0%増。次に美術・宝飾・貴金属が同6.6%増となっています。その他はほとんど減少しているのです。

 今、特に中国人による日本製化粧品の需要が高まっています。ある日、私が新宿の百貨店を訪れると、中国人が化粧品コーナーで列を作って並んでいました。近くの店の店員に尋ねると、実は彼らは訪日客ではないそうです。

 今、日本の化粧品メーカーは、転売を回避するために「1人2個まで」というように購入数を制限するところが増えています。一部の販売店では、住所を書かないと購入できないというルールを設けているようです。

 そこで行列の話に戻りますが、こういった購入制限を突破するために、中国人はアルバイトを雇うことで、日本製化粧品をたくさん購入しているというのです。話を聞いた店員は、「毎日同じ人が並んでいます」と話していました。

 インバウンド消費の中でも化粧品や医薬品の増加は、企業業績にも反映されています。高島屋の2018年2月期の売上高は、前期比2.8%増の9495億円、営業利益は3.9%増の353億円。

 ドラッグストア大手のマツモトキヨシホールディングスは、2018年3月期の売上高は前期比4.4%増の5588億円、営業利益は18.1%増の335億円。ココカラファインは、売上高が3.6%増の3909億円、営業利益は35.0%増の137億円と、いずれも増収増益です。

 ホテル料金や闇民泊などの問題はありますが、インバウンド消費が増えていくことは一部の日本企業やそれを通じた日本経済全体にとっても大きな恩恵となりつつあります。

 政府が訪日客誘致に注力することは、方向性として正しいと思います。しかし、同時に日本企業あるいは国民の負担を考え、交通をはじめとする独占、寡占企業の料金を下げるなどの工夫や配慮をしつつ観光政策を進めることも忘れてはならないでしょう。