このように様々な問題は孕んでいますが、大阪を訪れる外国人観光客数が年々増え続けていることから、ホテル料金にも影響が及んでいるのです。

 6月15日には住宅宿泊事業法(通称「民泊新法」)が施行されます。となると、闇民泊は摘発される可能性が高まるでしょう。闇民泊は違法ですので、それは当然だとは思いますが、これによって一時的に宿泊サービスの供給が減り、ホテル料金が上昇する可能性があるのではないかと懸念しています。

 話が少々ややこしいのは、民泊新法が施行される一カ月前の調査では、多くの都市で、民泊に必要な届出がゼロだということです。仙台、青森、秋田だけでなく、外国人観光客の多い京都でもゼロでした。同時期の民泊サイトを紹介するエアビーアンドビーの国内での登録件数が6万2千カ所あることを考えれば、非常に少ない数です。年間180日という制限が、事業として民泊を行おうとしている人たちの意欲を削いだとも言われています。

 ちなみに京都の場合には、古くなった町家を改装して、宿泊施設にする動きが進んでいますが、こちらは、民泊ではなく、正規の宿泊施設として登録しているところが多いと聞きます。改装費用もバカにならないのですが、多くの人から小口で資金を集めるクラウドファンディングも活用されているとのことです。

 そういう状況で、闇民泊が摘発されれば、一気に宿泊室数不足となり、ホテル代が高騰し、多くのビジネスマンの不満が高まる懸念もあります。一方、闇民泊を摘発しなければ新法の意味がなくなります。政府としては難しい対応を迫られるわけです。

交通料金を下げる工夫も必要に

 外国人観光客が増えることは、日本経済全体から見れば喜ばしいことです。その消費額だけでも昨年は4兆円を超えています。政府も観光業などでの外国人の消費を伸ばそうとしており、こちらも経済的には望ましいことと思います。一方で、同時に宿泊サービスの供給量が十分なのか、という点にも配慮する必要があります。

 ホテルに宿泊するのは、観光客だけではありません。日本人のビジネス客や観光客ももちろん多いのです。ホテル料金が上昇し、国内でビジネスや観光がしにくくなってしまっては、元も子もありません。

 大阪のみならず、他の地域でもホテル料金が上がりつつあるという話を耳にします。私のお客さまの中でも、出張旅費を引き上げた会社が多数あります。

 給料が十分に上がらない中で、出張時の宿泊コストが上がると、企業としては余計に給料を上げにくくなくなってしまいます。ホテル料金の上昇についても、10年単位の時間を経ることで需給はバランスしてくるでしょうが、どうしても時間を要します。

 政府は、外国人観光客を誘致するだけでなく、国内でビジネスをする企業人にも配慮すべきです。例えば、乗り物の運賃です。新幹線や航空機などにより競争を促すことで運賃が下がれば、ホテル料金が上昇したとしても出張コスト全体を抑えることが可能です。

 元々、日本の航空運賃は、世界から見ても非常に高い水準です。本コラムの「日本の航空運賃が高いのは適正な競争がないから」でも述べましたが、日本の航空業はJALとANAによる寡占状態となっています。国内を運航する航空会社のほとんどは、JALとANAの傘下にあります。

 それに伴い、新幹線の料金も高く設定されていると思います。特にJR東海は、JALやANA以上の超高収益企業です。交通は社会インフラですから、ここが高いと国民あるいは日本企業にとって多大な負担となります。