つまり、儲かっていない郵便・物流事業を、金融業が支えているという構図だと言えます。今、問題になっているトール社の買収問題も、そもそもはここが原因だったのではないかと思います。収益力の低い郵便・物流事業を底上げするために、金融業で稼いだお金をトール社買収に投資したら、想像以上に業績が悪くて、結果的に減損せざるを得なくなったという状況だったのではないでしょうか。

 アマゾンの話に戻します。もし、アマゾンがヤマト依存をやめて負荷の分散を図る場合、日本郵便は配送量が急増する可能性があります。同社はそれに対応しながら収益を上げることができるのでしょうか。

 ヤマトと日本郵政の売上高営業利益率(営業利益÷売上高)を比較してみますと、ヤマトは半減したとはいえ、2.4%。日本郵政の郵便・物流事業はわずか0.3%。日本郵政の方が極端に低いことが分かりますね。

 この原因は、日本郵政には「郵便」という役割があるからでしょう。国内であれば、封書ですと82円(25グラム以内)、普通はがきだと52円、一律料金で全国どこにでも届けてもらえます。離島でも山奥でも同じ料金ですから、郵便は非常に利益率の低い事業であることは間違いありません。

 日本郵政も一部の郵便物については値上げを行う予定ですが、公益性という点を考えますと、大幅な値上げは簡単にはできにくい状況です。

 ただし、こういった事情を差し引いても、日本郵政の利益率は低すぎます。宅配便「ゆうパック」も、ヤマトや佐川急便に差をつけられています。もっと配送効率を高め、利益を上げられる余地は十分にあるでしょう。とくに、宅配荷物の取り扱い増加は、やり方次第では効率化ができるはずです。

 資金も潤沢にあります。貸借対照表の純資産の部に、利益の蓄積を示す「利益剰余金」が3兆6197億円計上されていますね。この額を見ると、トール社の減損4000億円などは、経営を揺るがすほどの話ではありませんし、配送効率を高めるためのハブを建設する投資余力もあるのです。

 アマゾンなどからの配送依頼が増えれば、日本郵政にとっては収益性を上げるチャンスになる可能性もあります。荷物はたくさんある。資金も潤沢にある。人手不足はありますが、あとは、どのように荷物をさばけるようにするか、ということです。

 アマゾンとヤマトの運賃値上げ交渉の行方とともに、日本郵政の戦略、そして同社の郵便・物流事業が今後どれだけ底上げされていくかに注目です。