米国と中国、どこまで本気なのか

 トランプ大統領には何らかの戦略があるのか、あるいは、何も考えていないのか。今、世界の注目を集めている米朝首脳会談についても、トランプ大統領は幹部への相談なしに即決したと報じられています。もちろん、米国にとっての貿易赤字は大きな問題ですが、これも以前から長く続いているわけで、今回の貿易摩擦に関するトランプ大統領の発言も、どこまで考えているのか分からない部分が多い。ただ、一つだけはっきりしていることは、11月に控える中間選挙には何としてでも勝利したいということです。

 もし、ここで共和党が敗北するようなことがあれば、トランプ大統領は議会運営がますます難しくなり、その後2年強の政権運営が非常に困難な状況に陥ってしまいます。

 そういった事態を避けるべく、国内、特に中核の支持層である白人低所得者層に向けた政策を積極的に打ち出したわけです。「中国からの貿易赤字を減らし、米国の黒字を増やす」というメッセージは、非常に分かりやすい内容です。

 場合によっては、その矛先が日本にも向けられる可能性があります。トランプ大統領は、二国間協議を有利に運びたいと考えています。今回導入された鉄とアルミニウムの輸入品に対する追加関税について、韓国は除外されていますが、それは自由貿易協定(FTA)を締結しているからです。

 米国は日本とのFTA交渉を求めていますが、もし交渉入りすることになれば、貿易不均衡などを理由に、米国に有利な条件を飲まされる可能性は高いでしょう。また、その際には安全保障上の問題もちらつかせてくるでしょう。

日本経済の景気後退の引き金になるか

 米中貿易摩擦が日本経済に及ぼす影響を考える前に、現在の国内景気を見ていきましょう。

日銀短観業況判断
「良い%」-「悪い%」
景気ウォッチャー調査
景気の業況判断DI
(季節調整値)
鉱工業指数
生産指数
(季調、2010年=100)
大企業製造業大企業非製造業
2014年度98.4
2015年度97.5
2016年度98.6
2017年4月17
(6月調査)
23
(6月調査)
48.1103.8
5月48.6100.1
6月50.0101.7
7月22
(9月調査)
23
(9月調査)
49.9101.5
8月50.0103.5
9月51.1102.5
10月26
(12月調査)
25
(12月調査)
52.0103.0
11月54.1103.5
12月53.9106.5
2018年1月24
(3月調査)
(6月先行き 20)
23
(3月調査)
(6月先行き 20)
49.999.5
2月48.6103.4
3月48.9
出所:日銀、内閣府、経済産業省

 「日銀短観」を見ますと、4月2日に発表された3月調査の業況判断指数は、大企業製造業は前回調査より2ポイント低下の24、3カ月後の「先行き」は20。大企業非製造業は23と2ポイント低下、「先行き」は20となっています。

 気になるのは、「先行き」です。経営者たちが、円高や貿易摩擦を警戒している様子が窺えます。

 「景気ウォッチャー調査」も、2017年11月の54.1をピークに悪化傾向が見られ、2018年2月は48.6、3月は48.9と、好不調の基準の50を割り込んでいます。

 国内製造業の動向を示す「鉱工業指数 生産指数」は、2018年1月に99.5まで低下しましたが、2月には103.4まで戻すという、微妙な動きをしています。

 以上の点から考えると、短期的な弱含みである可能性はありますが、若干景況感が天井を打っていると感じます。この先の動きを注意して見る必要があります。

 先行きを見極めるポイントの一つは、国内消費に影響する実質所得の動向です。