ようやく「危機モード」から脱した

 では、本当に危機モードから脱したのでしょうか。それは、貸借対照表に載っている現預金や借入金の推移から読み取ることができます。

 問題が発覚する前の13年12月期末は、長期借入金のみが5億円計上されています。実は、マクドナルドは昔からぴったり5億円の借り入れをし続けていました。おそらく銀行への義理があるのでしょう。13年12月期も450億円の現預金を持っていたわけですから、実質無借金企業だったのです。

 問題が発覚した14年12月期になると、現金及び預金が大幅に減っていますね。前の期の450億円から286億円まで164億円も減少しています。

 理由は、業績を回復すべく店舗改装などに投資したからです。ただ、この時点ではまだ借入金の額に変化は見られません。預貯金の取り崩しで間に合っていたのです。

 業績の悪化に歯止めがかからず、ついに15年12月期には借り入れを増やしました。短期借入金50億円、1年内返済予定の長期借入金25億円、長期借入金が181億円、合計で256億円となります。この資金は、復活戦略の実行、具体的には商品の開発や広告宣伝、店舗改装のための費用、リストラ費用として使われました。

 そして、業績が回復した16年12月期になると、短期借入金はすべて返済。1年内返済予定の長期借入金が25億円、長期借入金が206億円、合計231億円の借り入れとなっています。

 現預金の変化も見てみましょう。15年12月期は203億円。16年12月期は212億円。一般的には、大企業ですと月商の1カ月分強ほど持っていれば安全と言われています。マクドナルドの場合、15年12月期は1.3カ月分、16年12月期は1.1カ月分の現預金を維持していました。

 つまり、15年12月期にかけては危機に対応すべく、借り入れを増やして現預金を積み上げた。16年12月期に入ると危機モードを徐々に解除し、借入金を返済し始めたことが読み取れます。

 おそらく現預金の最低ラインを200億円程度に設定し、不足分は借り入れで賄って設備投資に回したのでしょう。

 こうした状況の中で、業績の低迷が長く続いたにもかかわらず、財務面の安全性には全く問題ありませんでした。中長期的な安全性を示す自己資本比率は、鶏肉偽装問題発覚まで80%前後。危機モードにあった15年12月期も60%超を保っています。確かに比率は大幅に落としていますが、非常に高い水準を維持していたと言えます。

16年12月期は、積極投資が功を奏した

 業績は、このまま順調に回復するのでしょうか。これを判断するヒントはキャッシュ・フロー計算書にあります。