2015年末に買収した原子力部門の子会社について、焦点は2016年4~9月期の決算発表時点で認識していたかどうかです。先ほど述べたように、この時期は業績が急回復した時期です。そこでこの減損の可能性をもし認識していて、それを4~9月期の決算発表時点で開示していなければ大問題でしょう。業績回復を信じて株式を買った株主をだましたことになります。

 ただ、その可能性を甘く見ていた部分はあると思います。減損は、可能性はあっても、本当に必要になるかどうかは最終的には監査法人の判断に委ねられており、微妙なところなのです。

 私の推測ですが、監査法人が変わり、減損に関する認識が変更となった可能性も考えられます。東芝は16年3月期を境に監査法人を新日本監査法人からPwCあらた監査法人に変更しています。その場合、グローバルでの監査体制を変えることも多いのです。

 いずれにしても、東芝は再び危機モードに陥ってしまいました。唯一の救いは、先ほども見たように4~9月期までであるものの、各事業が利益を出し始めたことです。ただし、株主資本が足りないことは間違いありませんから、資本の増強に動かざるを得ません。

 再建のポイントは、ファイナンスの面では金融機関から融資をどれだけ継続して受けられるか、そして優良子会社の売却によってどれだけの利益を得られるかです。こういう状況では、銀行も資産売却や業績を見て融資スタンスを決めるでしょう。

 コンプライアンスや企業のミッションなどに関して、経営陣の刷新や人材の再教育がどれだけ成功するかも重要でしょう。さらに、先にも触れたように、今回の巨額減損を認識した時期は本当にいつだったのか。経営陣の姿勢が変わっているのかも上場維持や再建などに関して言えば、とても重要なポイントです。経営危機の発端は不正会計だったわけですから(つづく)