突然、大幅減損に

 私は当時、不正や突発事象がこれ以上出なければ東芝は立ち直ると考えていました。ところが、東芝は再び危機に陥ります。

 冒頭でも触れましたが、2016年末に「ウエスチングハウスが15年末に買収した原発サービス会社について、買収に伴う数千億円規模の減損損失が出る可能性がある」と発表したのです。東芝は、原発サービス会社において当初想定していなかった巨額のコストが生じたことから、資産価値が大幅に低下したと説明しています。

 減損がどれだけの規模になり、どこまで業績に響くのか、様々な臆測が広がりました。東芝は結局、14日の記者会見で、次の見通しを発表しました。

 ついに、多くの人が危惧していた株主資本がマイナスという状況に陥ってしまったのです。

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、東芝の長期格付けを「シングルBマイナス」から「トリプルCプラス」に1段階引き下げました。他の格付け会社も追随しています。ハイイールド債(ジャンクボンド)ですから、社債の発行は難しくなりました。また、株式は特別監視銘柄になっていますから、一般的な増資もできません。

 東芝が建て直しを図るためには、まず、優良子会社を切り売りするしかありません。銀行からの融資も不可欠です。先にも述べたように主力銀行は融資の継続に短期融資で応じましたが、先行きは東芝の今後の状況によります。

 株主資本がマイナスに陥った今、今後のファイナンスは業績と再建計画にかかっており、かなり厳しいことは間違いありません。

 唯一の好材料は、先ほども触れたように、16年4~9月期に事業の業績が回復に転じたこと。本業は黒字になりつつあるのです。今後はこの業績の回復がどこまで続くのかが注目です。しかし、それだけでは株主資本はなかなか十分には回復しません。半導体事業などの優良資産も含めてどこまで売却が進むのかも大きな焦点です。

東芝経営陣は巨額減損をいつ認識していたのか?

 今回の問題で大きな焦点となるのは、巨額の減損が発生する可能性について東芝の経営陣がどの時点から認識していたかです。本当に晴天の霹靂だったのか。あるいは、減損の可能性をもっと前から知っていたのか。

 経営者の視点から考えますと、減損の可能性は不正に比べて認識するのが容易だと思います。不正は、事案が取締役会に上がってこなかったら認識するのは難しい。

 一方、減損の可能性については、監査法人が定期的に監査して情報を提供します。また、自社の財務・会計部門も、当然減損の可能性についてはとても神経質になっていたはずです。それが子会社のものであっても連結対象であれば同様です。ましてやあれだけの会計不正があった後ですからね。

 一般的に監査法人や会計部門から減損の可能性について指摘があれば、経営者はかなりのことを認識することが可能です。巨額の減損の可能性についてはなおさらです。前兆は必ずあったはずです。その点を考えますと、東芝の経営陣は減損の可能性を以前から認識していたのではないでしょうか。