通例ですと、一度の利上げにつき政策金利は0.25%引き上げられますから、1年間で引き上げられる金利は、3回続けば0.75%、4回ですと1.00%です。現在の政策金利の誘導ゾーンは1.25~1.50%ですから、このペースで利上げをしていきますと、3回の利上げで年末には2.00~2.25%になります。すると、最近には2.9%近くまで上昇した長期金利が、3%を超えてくるのは確実です。もっと上昇するかもしれません。このことが、好景気に水を差すとの懸念を生み、NYダウの急落、ひいては世界の株価に大きな影響を与えたのです。

 また、金利が上がれば債券価格が下がりますから、市場は「先に債券を売っておこう」と考えるようになります。米国債は世界で最も流通量の多い債券ですから、それを保有している人たち、特に価格変動リスクの大きな長期債券を保有している人たちは、戦々恐々としているところがあるわけです。

 確かに企業業績は好調ですが、米国株はこのところ急ピッチで上昇していたこともあり、調整色を強めています。こうして行き場をなくした資金は、金(ゴールド)などの現物資産、あるいは一部には仮想通貨に一時は流れたものの、これだけ株式市場が動揺すると、仮想通貨のみならず原油の先物市場など他の市場にも影響が出ます。多くの人がこの先の相場の動揺を恐れて、ポジションを持たなくなり、早く手じまいしたいと考えるからです。

最終的には円安ドル高進行か

 金利に動きがあるのは米国だけではありません。日本の長期金利にも変化が見られます。

 2月1日、新発10年国債利回りが0.095%をつけました。昨年12月末は0.045%でしたから、およそ2倍まで上昇したということです(もちろん、大きな問題が起きる水準ではありません)。

 翌2日には、日銀は長期金利の上昇を抑えるために、価格(利回り)を指定して国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」と呼ばれる市場調節を実施。新発10年国債利回りはその後0.085%まで低下しました。

 皆さんもご存じの通り、日銀は2013年4月からスタートした異次元緩和によって国債を大量に買い入れています。今後、長期金利が大きく上昇(価格は下落)してくるようなことがあれば、日本国債を保有している日銀をはじめとする金融機関や債券への投資家は、巨額の含み損を抱えることになります。銀行の業績にも大きな影響が出る可能性があります。

 もう一つの注目点は、為替の動向です。今は米ドルが弱含んでいますが、中長期的には円安ドル高が進むのではないかと私は考えています。

 見極めのポイントは、日米の金利の動き。それから日銀が量的緩和の縮小(テーパリング)を実施するのかという点です。市場はすでにテーパリングを織り込み始めていますが、私はそう簡単にいかないのではないかと思います。

 というのは、消費者物価の上昇幅は今がピークであり、そろそろ上昇幅が低下し始める可能性があるからです(本コラム「財政規律はどうなる? 来春までに日銀は出口を」参照)。

消費者物価指数、輸入物価指数
出所:総務省、日銀