今回の株式市場に波乱をもたらした主な要因は、米長期金利の上昇と言われています。実際に米国金利の推移を見てみましょう。

TB3カ月、10年国債利回り
出所:米国政府

 FRB(連邦準備制度理事会)の政策金利(FF金利)にほぼ連動する「TB(国庫短期証券)3カ月物」を見ますと、2014年は0.05%とほぼゼロにはりついています。米国では、リーマン・ショックの影響から景気が急速に悪化し、2008年12月から15年12月までゼロ金利政策を続けていました。その当時、長期金利にあたる10年国債利回りは、表にあるように14年に2.17%、15年は2.27%と2%台前半でした。

 FRBはその後、景気回復にともない、徐々に政策金利を引き上げていき、現在の誘導ゾーンは1.25~1.50%となっています。17年12月のTB3カ月物は1.35%ですから、この範囲内に入っていますね。

 ただし、同じ時期の10年国債利回りは2.40%にとどまっていました。短期金利がほぼゼロだった14、15年あたりとさほど変わりません。短期金利の上昇から考えると、この昨年末あたりまでの長期金利の水準は低いと言わざるを得ない状況でした。

 理由は二つあります。一つは大規模金融緩和で資金供給量が多くなっていたことが資金の値段である金利を抑えていたこと。もう一つは、資金需要、それも長期の資金需要が伸びなかったということです。

FRBの利上げタイミングは難しくなる

 17年以降、消費者物価指数(総合CPI)は前年比2%前後で推移してきました。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の判断材料としている個人消費支出(PCE)価格指数は、17年12月は前年同月比で1.7%と、それほど高くありません。

 こうしたこともあって、好況が継続しながらも長期金利は比較的低い水準にとどまってきました。

 しかし今、トレンドが変わりつつあるようです。2月2日には10年国債利回りが一時2.85%と約4年ぶりの高水準をつけました。同日に公表された1月の雇用統計で、物価の上昇圧力となる賃金の伸びが大きかったことが材料視されました。2.6%が当面の「壁」と考えられていたのが一気にその水準を抜いたのです。

 それに先立つ1月31日にFRBが開いた連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文では、米景気に自信をのぞかせ、これまで伸び悩んでいた物価についても今後上向く見方を示しました。

 年内3回というのが従来の利上げ見通しでしたが、先週までは4回という話も出ていました。昨年末、トランプ大統領が公約としていた税制改革を実現させました。連邦法人税率が35%から21%まで引き下げられることから、米国景気は予想以上に上振れる可能性があるからです。ただ、ここ数日のように、株式市場の動揺が長引けば、利上げのタイミングは微妙になります。市場では3月の利上げを予想する声が大きかったのですが、それも株式市場の動向に左右されるでしょう。