人民元が高かった15年は特に、日本製品を転売目的で購入する中国人が数多くいました。転売すると即座に売れ、利益率も高く儲かったからです。しかし、元安が進むにつれ利益は減り、これを受けて転売目的の購入者が減少しました。これも爆買いが収束した一因と思われます。

 以上の理由から、中国人観光客の数自体は大きく増えているものの、爆買いのトレンドは変わりつつあるのです。

 以上の点を考えると、カジノを含む統合型リゾート「IR」を日本で開業しても、期待しているほどの利益は得られない可能性があります。マカオのカジノの売り上げを調べたところ、ピーク時の2013年にはマカオ全体で年間5兆5000億円ありました。これが16年には同3兆2700億円まで落ちています。収益は激減しているのです。

 中国は習近平国家主席のもとで腐敗撲滅運動を進めており、公務員にお金が流れなくなりました。これがカジノが減収に陥った一因と思われます。ただ、それに加え、景気の長期的減速や個人による外貨持ち出しに対して中国政府の姿勢が厳しくなっていることも大きな原因です。

 たった数年の間に、中国人観光客の動きや中国の外貨事情が大きく変わってしまいました。中国は確かに豊かになり、富裕層のみならず中間所得層も増えました。しかし、彼らは日本を訪れはするものの、高額品は買わなくなってしまったということです。

 爆買いに期待していた百貨店の業績は軒並み落ち込んでいます。大丸と松坂屋を運営するJ・フロントリテイリング、高島屋、そごう・西武など大手百貨店の3~11月期決算は、いずれも減収減益(営業利益ベース)となりました。免税店大手のラオックスも16年1~6月期は売上高が前年同期比23%減の350億円、営業利益も同91%減の4億5400万円となり、大幅な落ち込みを見せています。

 爆買いに依存して成長できると思った業種は、戦略変更を余儀なくされているのではないでしょうか。中国の外貨準備などの動向を考えれば、今後もこのトレンドは続くと思われます。(つづく)