減価償却費は設備の価値の目減り分ですから、一般的には、減価償却費と同じくらいの設備投資をしなければ、現事業の規模を維持できないと考えられています。JXの設備投資額は、2015年3月期は減価償却費より少し多く、2016年はほぼ同じ額ですから、現事業を維持するだけの支出はしています。

 いずれにしても、現事業を維持するだけでも2000億円程度のキャッシュが毎年必要です。この点を考えますと、2年連続の最終赤字はかなり厳しいものだったと言えるでしょう。

今後も経営統合は続く

 こうした背景の中で、石油元売りの経営統合が進みつつあります。2017年4月にはJXと東燃ゼネの新統合会社「JXTGホールディングス」が発足します。出光と昭和シェルも、先行きは不透明ではありますが合併に向かって進みつつあります。

 経営環境の厳しさは今後も続くでしょうから、統合によってコスト削減や給油所の統合を進め、利益効率を高めたいと考えているのでしょう。

 日本の石油元売り業は、海外の同業者と比較すると時価総額が非常に小さいという指摘があります。JXと東燃ゼネを足し合わせると約1兆7000億円。これに対して欧米の主要企業は10兆円を超えています。国際競争力をつけるためにも、日本の石油元売り業は今後も経営統合により規模を大きくしていくことが考えられます。

 この視点に立つと、いまだ不透明感が残る出光と昭和シェルの合併の行方が気になるところです。このままでは、一足先に経営統合するJXと東燃ゼネによる1強体勢がしばらく続くことになります。出光創業家がどのような決断を下すのかに注目です。

 また、今回触れた企業の売上高は、いずれも国内の比率が極めて高いのが特徴です。JXは約84%、東燃ゼネは約80%、出光は約80%、いずれも8割を超える状態。石油製品の国内市場は縮小の一途を辿っています。自動車の燃費が向上しているだけでなく、人口減少も進んでいますからね。

 そこで各社は、海外展開に向けて動き出しています。例えば、JXはベトナムの国営石油会社ペトロリメックスに出資し、石油製品を販売しようとしています。東燃ゼネは豪州における給油所事業に参入しようとしています。合併とともに、こういった海外戦略が功を奏するのかにも注目したいところです。

 いずれにしても、激変する外部環境の中、石油元売り業界だけでなく多くの業界で、合併などのM&Aが今後も頻繁に起こると考えられます。

(つづく)