米国・シンガポールで、自動運転タクシーが走る

 人間が運転しなくても、車が自動で目的地に連れて行ってくれる「自律走行車」は、長い間SFの世界のものだった。映画や小説の中でも、何十年も先の未来の物語の中で登場するものだった。

 ところが最近、驚きの事実が報道されている。ライドシェアサービス大手の米ウーバー・テクノロジーズがスウェーデンの自動車大手、ボルボなどと共同でこの8月から、米ピッツバーグで顧客のピックアップサービスを試験的に開始したのだ。いわば「無人タクシー」である。

 もっとも、現在のところは非常時に備えて、運転席には運転手が座り(ピッツバーグのある米ペンシルバニア州では現在、運転手の同乗義務があるため)、助手席には試験運転の記録担当が座っている。試験期間中は無料でサービスが提供されるが、将来的には該当のゾーン内ならどこでも一回2ドルで乗れるサービスを予定している。これなら自家用車を持って運転するより格安で、郊外へのドライブに使っても安くあがる。

 このように米ピッツバーグで、自動運転によるピックアップサービスをウーバーが始めたが、シンガポールではそれより少し前から、米MIT(マサチューセッツ工科大学)出身者が立ち上げた米国のベンチャー企業ヌートノミー社が、自動運転タクシーの実験を行っている。自動運転はもはや映画のワンシーンでも、未来の計画でもなくなった。

シンガポールの自動運転タクシーの室内。右側に座っている男性は、ステアリング(ハンドル)から手を離し、手を膝の上に置いたまま。このタクシーを運営しているヌートノミー社の担当者は、自動走行のタクシーの数が増えれば、街中を走る車の数を大幅削減できると語った。(写真:AP/アフロ)

ヘルシンキでは自動運転バスが運行

 ヘルシンキでも、シンガポールやピッツバーグに続けとばかりに9月から無人運転のバスが走行している。バス会社やタクシー会社の経費の多くは人件費であるため、無人化で経費が大幅に削減できる。同時に事故の発生を抑えられるという。バスの場合は走行ルートが決まっているため安全対策がしやすいということもあるのだろう。

 「自動運転」技術を取りまくこうした現実がうまく受け入れられない人も、まだいるかもしれない。しかし、運転はもはや人間のみが行う活動ではなくなったということだ。ある自動車メーカーが「運転は好き?」というキャッチコピーをCMで使っていたが、近未来は人間が運転操作を忘れる時が来る。レーサーが運転技術を競うサーキット以外の場所では。