テレワークの普及でリーダーシップの手法も激変する

 例えば、「在宅勤務の社員たちはメールにはすぐに返信しているが、果たして集中して業務に取り組んでいるのか?」といった危惧が生じるといったことだ。職場勤務の部下たちは大きな安心感を与えてくれたが、今や多くのボスたちは姿の見えない部下たちを管理するのに多大なストレスを感じるようになる。

 マネジメントの研究者たちは、職場勤務のモデルを脅かすこの新しい労働の形態について盛んに議論している。様々な業種で従来の「被雇用者」という概念を「パートナー」へと変えていかなければならないだろう。

 企業の“心臓部”は、管理職、技術者などからなるという考えを捨て、全体を包括的に捉えることが求められる。特に社員の仕事の質が直接に顧客獲得に影響するサービス分野では、人材に投資することが大きな意味を持つだろう。カスタマーサービスを別の下請け会社が請け負うということも既に、多々起こってはいるが。

 テレワークの普及と並行して仕事の細分化が進んでおり、これをフリーランサーたちが担っている。事実、フリーランサーと企業を結びつけるクラウドソーシング「Elance」や「TopCoder(プログラマーに特化)」といったプラットフォームが労働市場を動かす一角に入り込んでいる。

 それに加えてグローバル化の波が、世界のあらゆるところに従来存在しなかった雇用の機会を広げているのも確かだ。これによって労働の「報酬」や「サービスの質」も世界規模で標準化されてきた。

 この新しい雇用関係の中での最良のマネジメント方法がどういったものなのか、そして職場勤務とどうやって共存させていったらいいのか、まだ答えが出ていない。

 この新しい現象への対応は人材管理部門にとってはすべて大きなチャレンジとなる。新たな雇用戦略のためのチャレンジというだけではなく、新たなリーダーシップのスタイルをつくり出すためのチャレンジでもある。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。