米国型経営が唯一の正解ではない、日本型経営にも良さが

 20世紀後半の日本の高度成長期からバブル経済の頃までは、日本型の家族的に一丸となった経営が日本企業の成長の秘密と、アジアや欧米で高く評価されていた。マレーシアのマハティール首相(当時)は「ルック・イースト」と号令を出し、英国のサッチャー首相(同)も「日本に学べ」と言った。

 しかしその後、日本のバブル経済の崩壊や、中国など新興国の発展、グローバリズムの荒波の中で、ゲゼルシャフト(各自の利益的関心に基づいて結合する共同体)的な米国型のドライな経営方式が礼賛されるようになった。バブル崩壊後の経済低迷に苦しんだ日本企業も、終身雇用を保証できなくなったり従業員の非正規化を進めたりして、米国型の経営を実践するようになりつつある。

 経営に唯一の解はない。アジアの企業では、家族的な経営を掲げて業績を伸ばしている企業もある。日本型経営も、会社やグループに対する高い帰属意識を醸成し、安定的雇用を保証することで安心して仕事に集中できるという意味でよい点もある。

 日本は平均寿命が83.7歳(世界保健機関 2016年版「世界保健統計」)という世界一の長寿国だ。この傾向は企業の寿命にも反映していて、1000年を超えて存続する企業が存在するなど、日本企業の寿命も総じて長い。危機に際しては、日本企業も日本人も一丸となって大きな力を発揮する。日本的な考え方に確実に強みはある。環境の変化をふまえて、日本型の経営をバージョンアップしていけば、かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と賞賛された時代の輝きを取り戻すのではないかと、私は期待している。いや、もしかしたらすでに、日本型経営は息を吹き返しているかもしれない。