ベーシックインカムで対応する方法

 ロボット労働にともなう大量失業時代に備えるために、ロボットへの課税ではなく、ベーシックインカム(政府が国民に基本的な所得を保障する制度)など、社会的不均衡を是正するための新たな手段を採用するという考え方もある。無条件に支給されるベーシックインカムは、従来からある条件つき(失業した時などの)給付金のシステムに代わるものだ。

 しかしながら、この対案も、根本的な問題とぶつかる。テクノロジーの発達などによって国境はどんどん取り払われているように見えるが、現実には各国がそれぞれ自国の経済政策によって税額を決める自由を持っている。グローバル企業が合法的に課税を回避するために、税金の安い国に拠点を築くことがごく普通に行われているのは誰もが知る事実である。そして、ベーシックインカム導入のために特定の国の法人税が高くなれば、それが企業のさらなる税金回避につながる可能性もある。

一国だけで解決できる問題ではない

 ある国がベーシックインカム導入のために、法人税の税率を上げるという政策を取ると、優良企業がその国に定着せずに、他国に移転してしまうといった問題が起こって来る。その上、富の再分配を行う目的でベーシックインカムを導入した国には、移民が大量に流入し、国境警備という問題も起こって来るだろう。

 繰り返しになるが、人間に代わるロボットに課税するというのはそんなに単純な問題ではない、ということだ。問題は一国の制度にとどまらないだろう。グローバル企業の税金の回避問題や、世界共通の法律制定の問題など、容易に解決できない大きな枠組みにまで問題は波及してしまうはずだ。この問題に関しては、場当たり的な解決策ではなく、もっと広く、深く、討議がなされるべきだと思う。